雨の日に
横浜まで行って、大磯の家の戸締りが気になった。洗濯物も出しっぱなしになっているかもしれない。どんよりとした空から落ちてくる雨粒はこころなしか大きくなっている気もする。引き返すことにした。
大磯駅まで戻って来るとはたしてざあざあ降りになっていた。駅前タクシーに乗り込んで我が家を目指す。
戸口にたってドアに手をかけるとやはり鍵はかかっていなかった。ベランダにも白いTシャツが雨にうたれている。戻ってきてよかった。
在宅時間5分。すぐ引き返す。雨は激しくなっていたが、徒歩でツヴァイク道を降りる。山道はぬかるんでいた。昨日買ったばかりのバーニーズのバッグが雨にうたれることだけが気にかかる。
森の中へ入ると雨粒は薄くなる。静かだ。今朝は鳥の声もしない。森の生き物たちはこの雨でひっそり篭っているのだろう。林が切れたところでは吹き降りの大雨が襲ってくる。
ちょろちょろ川もこの雨で溢れている。白い泡を立てている。ふと、白い蟹が飛び出してきた。沢蟹だ。手足の先だけ茶色の白い小さな蟹。山道を横切って草むらに消えた。
雨音以外音はない。静かだ。出社するのが億劫になる。このまま、今日は休んでしまおうか。両足は頭と関係なく、どんどん坂を下っていく。しかし、こんなアクシデントでもなければ昼の嵐の森の中などにはいまい。こんなチャンスを得たことだけでも喜ぶか。
駅まで降りてホームから紅葉山を見ると、雨で白くなっていた。
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