定年再出発 |
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嘘というよりホラ話
新潮から出ている季刊雑誌「考える人」はいつも特集が楽しい。2008年夏号の「自伝、評伝、日記を読もう」は構成と整理のうまさでするすると読めた。 識者32人にあなたの好きな自伝、評伝、日記は何かと問うたアンケートがある。まず、それが面白かった。だいたい3、4冊あげているのだが、そのうち3人が『アンネの日記』を薦めている。四方田犬彦、蜂飼耳、ディヴィッド・グッドマンらだ。ユダヤ系であるグッドマンの理由はすぐ判るが、狷介な四方田が入っているのが意外だし面白かった。 彼の意見と理由――絶対に完全版で読まなければならない。アムステルダムの屋根裏部屋に隠れているユダヤ人の少女が、しだいに性徴を露としつつある自分の身体をどのように観察しているかが、隠すところなく記されているからである。 そうなのだ。「アンネの日記」は全部で3つのバージョンがあり、それぞれA,B,C版とされている。戦後、アンネの遺稿原文を受け取った父オットーはアンネの赤裸に描いた「性的な記事」は“配慮して”削除をほどこした。だから完全版と呼ばれるC版が重要であると、四方田は強調するのだ。書かれたことは、今となっては何も恥ずかしいものではない。むしろ思春期の微妙な心の揺れがよく分かる。それにしても、14歳の少女が書いた60年前の記録がまだこれほど人の心を捉えているということに、不思議な感動を覚える。 このアンケートの答えには我が意を得たりという本が散見された。「渡辺一夫敗戦日記」、「ナボコフ自伝」、「佐多稲子/私の東京地図」、「知里幸恵」、「バージニア・ウルフ/ある作家の日記」、「夢野久作の場所」、「星新一」・・・ なかでもシュテファン・ツヴァイクが取り上げられているのは嬉しい。『ジョセフ・フーシェ』、『昨日の世界』の2冊だ。『昨日の世界』は、このアンケートに応じていないが、コラムで養老孟司も取り上げている。1000年のハプスブルグ家の伝統にあったウィーンが大戦によってガラガラと壊されて行く姿を描いたツヴァイクの伝記だ。養老は「世界は永遠に続くと思っている人は、読んでおいたほうがいいですね」と文章を結んでいる。ナチが台頭してくるまでツヴァイクは自分をユダヤ人とはまったく意識しておらず、このまま世界は進んで行くと思っていたのだ。ツヴァイクの迂闊さを笑うわけにはいかない。数年前まで経済大国だ不戦の国だと惰眠をむさぼってきて、今の年金問題や集団安全保障の問題が浮上して泡をくっている私たちだから。 20代の頃、私はツヴァイクに夢中になって読んだが、このところご無沙汰していた。もう一度、「昨日の世界」を読み直しておこうと思う。 先日、ブログでも触れたリリアン・ヘルマンの『ジュリア』。ここに描かれてあることはかなり事実と違うということを知っていささかショックを受けた。ヘルマンの宿敵ともいうべきメアリー・マッカーシーが「ヘルマンの書くのはアンドもザもすべて嘘」とテレビで公言して、ジュリアのなかの劇的エピソードも事実ではないと言い切ったという。翻訳家の青山南もそれを知って、大ショックを受ける。だが、と彼は思い直す。 「いまでは、ふーん、そういう人だったのね、と楽しめるようになってきたし」 青山に言わせると、アメリカの自伝とはそういうもので、嘘というより西部劇時代の酒場のホラ話に近いものだという。 うまいことを言うなあ。 たしかに自伝というのはどこまでが本当か判りにくい。さらに、書いていないことに真実があったりもする。ましてや他人が書く評伝や伝記はもっと真実性の確保は難しいものだ。これはドキュメンタリー映像を作っているときにいつも痛感することだ。 ここに取り上げていることは事実というより、事実の解釈として取り上げている、という実感をもつことが多い。そういう意味で、昔あった「テレビ人物評伝」というのは、正当な呼び名だったかもしれない。 私が番組制作のなかでヒューマンドキュメンタリーを志向するのは、ひょっとすると、伝記好きということからかもしれない。それは青山も小谷野敦もいうように「他人の生活を覗き見したい」という欲望がおおいに関わっているだろう。もう少し品よく言って、「他人の生活や人生を覗き見したい」 来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
by yamato-y
| 2008-10-24 09:05
| 登羊亭日乗
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