継子の尻拭い
ママコノシリヌグイという名前の草花があることを知った。ちょうど今時分に花が咲く。私の住む大磯丘陵に分布しているとか、明日の日曜日でも探して歩こうかな。
それにしても随分の名前だ。古来、継子いじめというのはよく聞かされたが、尻拭いというのは、その厄介者を渋々なんとかしてやったぞという、恩着せがましい言葉ではないか。
藤沢周平の「一茶」を読むと、生さぬ仲の母子というのはまことに難しい関係だと痛感する。昔、私の住んでいた町内にダイナンコウさんという一家がいた。親父は髭を生やして格好をつけていたが、子供が5人いた。最初の妻との間に出来た子が一男2女。後妻に出来たのが2人の男子だった。その1人のマサオは私より1歳上でいつも鼻水を垂らしていた。
最初の妻との間に生まれた男子は私よりも10歳は離れていたか、高校を卒業するかしないかの年齢だった。この人は神経質そうな顔でいつもおどおどしていた。
あるときから、その男子は目つきが変わり徘徊するようになった。近くに寄ればいつもぶつぶつ言っていた。気がおかしくなったのだ。どうやら、後妻に虐められてのことだったらしい。私はまだ小学生だったから真相は知らない。が、噂では継子虐めのはてにそうなったと聞いた。青白い少年は、それからは町中を徘徊するので次第に日に焼けていったことが心に残っている。藤沢周平の市井もので継子いじめの話が出てくると、いつも心臓がキューっとしたものだ。折檻という言葉が、私の頃はまだ残っていた。
話はがらりと変わる。今年は手塚治虫が生まれて80年という記念の年だということを、朝のテレビで知った。うかつにも忘れていた。手塚は生きていれば今年80歳か。
む、待てよ。来年はアンネ・フランクの生誕80年だ。ということは、手塚とアンネは同世代なのだ。「アドルフに告ぐ」を描いた手塚はこのことを意識していたのだろうか。
さらに、来年は太宰治生誕100年。太宰は来年100歳。大伴昌司の母堂も来年100歳だ。しかも、お母さんは今もすこぶる元気。今、ここに挙げた人名はすべて歴史と思っていたが、どうもそうではないらしい。
大磯ツヴァイク道に、秋の草花をあれこれ見つけながら考えた。
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