よりみちパンセ
若い人のための“教養書”が最近目につく。気になるのが、「よりみちパン!セ」
小熊英二の「日本という国」。明治以降、侵略される国から侵略する国に変わっていったその姿を判りやすく小熊が書いている。この本がきっかけになってこのシリーズが気になりはじめた。
鈴木邦男「失敗の愛国心」、伏見憲明「さびしさの授業」、多田文明「ついていったら、だまされる」など。多田の本は、キャッチセールスのルポだ。前から、センター街で勧誘を受けている女子が気になっていた。こういう視点の本を若い人向けに出すという心意気に引かれる。
その編集長の清水檀という人へのインタビュー記事を興味深く読んだ。
このシリーズにはとてもルビが多い。かつて編集長が少年刑務所を取材したとき、受刑者はルビが多いとよく読むということを知って、そういう措置をとったという。ルビの基準は小学4年以上で習う漢字には振っている。こういう工夫は見過ごされやすいが、とても大切なものだ。番組作りでも、そういう意識をもつ制作者はどれほどいるだろうか。
「さびしさの授業」は読んでいないが、梗概だけ読んでも引かれる。小学校時代にいじめにあって居場所を失くした青年が、人と関わりながら、「生きられる場所」を探すという内容らしい。本日、ホテルを出たら、京都ジュンク堂へ行ってこの本を購入しよう。
このシリーズすべての本に、谷川俊太郎の4つの質問というページが巻末についている。
「何がいちばん好きですか?」
「誰がいちばん好きですか?」
「何がいちばんいやですか?」
「死んだら どこへいきますか?」
この問いを見てうなった、迷った。好きなものはあるけど、好きな人はあるけど、いやなものはあるけど、いちばんと言われると何と答えるか難しい。そういうことって決められないことじゃないかと内省する。谷川俊太郎は、そういう問いの前でドギマギすることを読者に求めているのだろうか。
それにしても、よりみちパンセとは美しい言葉だ。
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