月のこと
ここ数日は月が大きかった。一昨日あたりは山吹色がかってやや赤味を帯びて、見るからに暑苦しい月の色だった。
昨夜は遅くなって一雨来た。それから涼しくなった。月は消えたかもしれない。
昨夜の雨は台風の影響かもしれないが、しぐれのような雨にも思えた。しぐれは冬の初めのものだが。・・・安住敦の句を思う。
しぐるるや駅に西口東口
この句は田園調布の駅らしい。今は地下駅になってこの風情はないが、昔はこの句どおりだった。上掲の句は、私にはいつも池袋を連想させる。西口に東武百貨店があって、東口に西武百貨店があるというテレコの位置取りが面白いので。
俳句を読んだりするのは老いの遊(すさ)びだけではない。古人の思いも重ねて、自分の気持ちを量ろうとしているところもある。
歳時記を繰れば、秋は月が大きな位置を占めている。月のことを思った。
日本の歌謡曲に「月がとっても青いから」というのがある。青い月の光というのは古今東西普遍だと思っていた。ところが違うらしい。
英語で青い月(bluemoon)は嘘という意味をもつということを昔聞いたことがある。月は青いと思ってよく見ても、けっして青くはない。どこまでも黄色い月だ。だから青い月というのはありえないこと、嘘のことという意味合いだという。
この話を聞いたとき、日本人と欧米人の認知はやはり違うものなのだと、自分なりに勝手に納得理解した。
昨夜、bluemoonをネットの辞書で引いてみたが、嘘という意味合いはなかった。ただ単に青い月としかない。私が聞いた話はでたらめだったのだろうか。
この辞書を見て回っていたらmoonblindという言葉を見つけた。月盲とある。馬の病気の一つらしい。症状は分からないが、細菌がついてかかる馬の病気なのだ。月盲症という語は英語の直訳らしいが、ずいぶん美しい言葉だと思った。
秋の夜。牧場に月盲症にかかった馬がいる。月の光があまりに青々と照らすので、馬はすっかり目をやられ見えなくなってしまった。突然のことで馬自身が驚いて、恐怖で高ぶってしまい、牧場の柵内をぐるぐる走り回っている。・・・と、こんな妄想を抱かせる言葉ではないか。
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