いじりはいじめだ
朝、不快なものを見た。品川から電車に乗った。デッキに4,5人の若者が立っていた。近郊の大学生のようだ。その一人は顔色がよくないし目つきが悪い。その男子がふらふらしている。電車が揺れるたびにあっちへ行ったりこっちへ行ったりするのだ。きちんと手すりに掴まればいいものを、いっしょにいる若者の肩にもたれたり、他の若者の背中にぶつかったりしている。
されている若者は顔をややしかめているが、なされるがままにしている。
五反田を過ぎたあたりから、その馬鹿者はもたれた若者と話をはじめた。そいつはニヤニヤしているが、相手は口ごもったりしている様子。
目黒あたりで、私は気がついた。馬鹿者は話をしている若者の足を踏んづけている。目を疑った。馬鹿者の足が若者の足の甲にかぶさっている。明らかにイジメじゃないか。思わず注意しようかと思った。と、若者と目線があった。こっちに来ないでという顔だった。私にはその表情はそう見えた。
恵比寿で一団は降りて行った。
この話を娘にした。それはイジメじゃなくてイジリだよと言う。からかうという”文化”なんだけど、オヤジ世代には分からないだろうなあとつぶやくから、「イジリとかイジメとか分類の問題じゃない、全部イジメだ」と私は反論する。
「それは分かるけど、もしオヤジであるお父さんが注意したら、そのいじられていた子がその後困るんじゃないかな。だって、誰もいないところで、こんなことで叱られるのはおまえのせいだと、その被害を受けた子がまた責められるのだよ。」
こういう関係性のなかで若者は生きている。だからKY(空気読めない)なんて言葉もあるのだと娘は解説してくれた。今の子って、けっこうデリケートな人間関係を強いられているんだよと、まるで私がデリカシーゼロのように説教を垂れる。
そういう場合の、いじめっ子が一番こたえる方法があると娘はいう。
「私らのような若い女から軽蔑されることだね。いいオトナがそんなことをやるなんてという顔をあからさまに、その男の前で示してやることが一番効くと思うな。」
娘の言う理屈も分かるけど釈然としない。足を踏んづけている光景が目に焼きついている。注意しようとして出来なかった自分の不甲斐なさもわだかまっている。
・・・でも若者だけじゃないな。いいオトナのいる職場でも、これに類したことはある。あからさまじゃないから、注意も抗議もできない。イジメに見せない形という陰湿がある。
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