泣き虫の男が増えた
同世代の男女から同じ意見が出た。最近、男はよく泣くと。
女は言った。「やだね。北島康介だって女々しいよ。男はもっと凛々しくあってほしい」
男は言った。「この間、30年ぶりに別れた子供と会ったのだ。そのときを思うと…」と言いながら顔をタオルで覆った。女が指摘したとおり、男は泣く。
私は男が泣いてもいいじゃないかと思っているが、私と同世代の“古い”女たちは泣く男が許せないらしい。
私の体験で言うと、泣くと気持ちがいい。何か浄化される気分になる。
見たわけでないが、飯森山にたてこもった白虎隊は落城する鶴ケ城を見て落涙したというではないか。その少年達の涙なら、件の女も文句を言うまい。
還暦を過ぎた男が涙もろくなるのが許せないのだ。
やや酔っ払っているから支離滅裂かもしれないが、人生劇場に出てくる飛車角だったらけっして涙なんか見せないだろうなあ。泣きたいことがあっても涙を堪えて、ぐっと空を仰ぐのさ。私にとってのそういう男のイメージは母方の祖父だ。大津平野神社の秋祭りには氏子総代のようなポジションで晴れがましく先頭を歩いた祖父は、たしかに涙を見せない人だった。宮大工のようなことをしていたから、若い衆を相手にしてもけっして弱みを見せない人だった。
でも、そのじいさんが泣きそうな顔をしているのを、一度だけ見たことがある。見てはいけないものを見た気がした。
秋の夜長に、還暦の男が祖父を恋しく思っている。…
これも、女から見て許せないのだろうなあ。開き直って口上を述べますが、男のセンチメンタルの何が悪い、と。
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