日常を生きること
夕方、西口の交差点で珍しい人と会った。ちょっとお茶でも飲もうということで、小一時間話しこんだ。
Iさんは5年前に癌が発見され、現役を降りた。以来、病院を出たり入ったりの生活となっている。
65歳となり中途半端なつとめではいけないと、本日すべての仕事から退いたそうだ。
昔から、私と気があったので、あれこれ四方山話に興じた。
Iさんの癌の部位は手術できないため、もっぱら抗がん剤治療らしい。抗がん剤も薬に抵抗力が生まれるため、さらに効き目の強いものと、次々に薬作用のレベルが上がって行く。このままでは、いつか薬の効き目がない状態になるかもしれない。そういう覚悟で生きていると語っていた。
Iさんは私を見て、「あんたは相変わらずエネルギーが溢れているから、感謝しなさいよ」ときつい忠告。
「私の場合、抗がん剤と癌のいたちごっこが続くまでが命」と言い放たれると、話しを聞く私としては変な慰めもできない。
Iさんは言っていた。「生きるということは、何かを目的にするものじゃないとつくづく思う。日々の日常を一つ一つ生きることよ。料理を作ること、洗濯物を丁寧にたたむこと、本を読むこと、そういう事の積み重ねだね」
私には、ずしんとこたえる言葉であった。
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