雲は天才である
夕方、ざーっと来た。夕立だ。
叩きつけるような激しい雨だった。大磯の駅舎に、一時、50名余の人が足止めをくらった。
私は久しぶりに駅からタクシーに乗った。ワンメーター710円になってから初めてのタクシー利用だ。
車のフロントガラスも白くなるほど激しい雨。
山道に入り、峠を越えたあたりで、明るくなりはじめた。見ると、西の空に茜がさしている。
「お客さん、これはすぐ上がりますね」と、新米運転手が軽口をたたく。
彼は、ついさっき、道に迷って自家用車と正面衝突しかけたのだ。スピードが出ていなかったからよかったものの、晴れた道なら危なかった。
家に帰り着いて、閉め切っていた窓という窓はすべて開け放つ。山の冷気がサーっと入ってきた。
屋上に上がって谷間を望むと、霧があちこちから立ち上っていた。
夕暮れの空。夏の雲が清潔な顔を見せている。思わずシャッターを切りたくなる。
雲はいろいろな形で、高い空にあった。
雨がやむと、いっせいにヒグラシが鳴き始めた。

来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング
