けなげな愛好者のために
田舎へ帰って、母ととりとめのない世間話をする。人生というものは不思議だ。
これまで母とじっくり話しをしたことがなかったのに、この1年はよく話す。母のほうも自分の若い時代の思い出をあれこれ語るようになった。
同様に、娘ともよく話すようになった。成人して話しがいのある対象になったこともあるのかもしれないが、深夜まで話し合うということはかつてなかった。
男3人兄弟で育ったせいか、女子とじっくり話すという体験をもっていなかったから還暦をむかえてこういう状況が生まれるとは予想もしていなかった。
その母から聞いた友人の話だ。年金生活の一人暮らしの女性が慎ましい暮らしを送っていると告げた。結婚もせず働いてきて、今は年金にだけ頼って生きている。わずかな額だ。相当倹約しなくては暮らしていけまい。
その人の楽しみは、冬のソナタの放映を見ることだ。衛星放送から始まって、総合テレビ、民放と繰り返し放送されているのを欠かさず見ているのだ。昨日も、民放で最終回が放送された。その時間になったということで家に戻っていったと、母は話す。「もう、これまでに何回見ているかねえ」と母も感心する。
実家には、母のために私が買った冬ソナのビデオ20巻がある。それを見せてあげたらいいじゃないかと言うと、その人は遠慮してそういうことはしないのだと母は説明する。
田舎でひっそりと暮らしている女性が、唯一の楽しみにしている、「冬のソナタ」。
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