雨雲の切れ目から
今朝、包丁で右人差し指を切った。鮮血がどくどくと流れたので慌てた。久しぶりに肉体ということを意識した。水道で切り口を洗い流してから血止めのクリームを塗った。
料理をしていたわけではない。たまたま包丁に白いものがこびり付いていたので、こそぎ落とそうとして手が滑ったのだ。相変わらず不器用である。
家事仕事をやっていると、老いた母のような心境に変わっていくことの面白さを内田樹は語っていて、こういうシャドウワークを蔑ろにするような神経にはムラカミハルキは分からないだろうというようなことを書いていた。やや乱暴にまとめたが、内田の言いたいことはなんとなく分かる。
今朝は切り餅一つとお茶だけですませた。雨は上がっているが山道はきっとぬかるんでいるに違いない。早めに家を出ないと電車に間に合わないと、大急ぎで戸締りを確認。
Tシャツだけで外に出るとやや肌寒かったが、湿度が高いのかすぐ汗が吹き出てくる。
お山の降り口で振り返ると、我が家が澄まして建っていた。深い緑のなかに白い漆喰壁の家が浮かび上がって、それなりに美しい。
ツヴァイク道は夜来の大雨で谷川となり瀬音が大きい。今朝はカラスの声もしない。下草は雨に濡れてますます青々としている。ケヤキの幹は雨で黒々とした肢体を広げている。遠く相模湾を臨むが江ノ島は霞んで見えない。
電車に乗って戸塚あたりまで来たとき、北西の空に垂れ込めていた黒い雲が少し切れて日がこぼれてきた。
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