歌仙を巻いた
初めて連句というものをやった。
昨夜、仕事を終えた7時から10時半までの3時間で初折の18句に挑戦したのだ。
連衆(れんじゅ)と呼ばれるメンバーは、相当な力量の持ち主ばかり。一人の彼はBS俳句のプロデューサー、もう一人の彼女はそのテキストの編集者つまり「BS俳句」誌の記者。あとの二人の彼は幼年期から俳句に親しんで来たというベテランばかり。ここに混じっての句会は、雑魚のトト混じりで、私にとっては苦会でもあった。
むろん、嫌なわけではない。嫌だったら参加などするはずもない。
発句は編集者が持って来た作品とした。
新緑の闇よりヨーヨー引き戻す
ふむ、いい句だ。この一句で座のレベルの高さが分かった。
そして、次の七七だ。私はてっきり順番で付けていくものだと思っていたらそうではなかった。前の句を詠んだ者以外の全員で考えるのだ。持ち時間はおよそ8分。その間に七七の短句を考えなくてはならない。これが至難だった。五七五には慣れているが、七七はなかなか出てこないものだ。第2句は脇といわれて14音、客をむかえた亭主の心で発句に答礼する気分でなくてはならない。しかも発句にない境地を作り出さなくてはならないとある。夏の季語が必要であり体言で止めるという約束事がある。
ルールを聞いて真っ青。こんなに縛りがあるのか。
慣れているメンバーはさっさと書いて、酒を飲みながら雑談を始める。これが気になり焦りが出てくる。いやあ、こりゃ格闘技だな。脂汗たらり。
4句でそろったところで、捌きをリーダーである亭主が始める。この人の感覚で選択されていく。最初の付け句なので、ああだらこうだら講釈があって決定するのに10分ほどかかる。そして選ばれた句は
子らの影から行列の蟻
と、ここまでで20分以上かかった。一応酒食をとりながらとなっているが、箸をとる時間などまったくない。
前の句につけて、一つ一つ進むのだが、後戻りつまりイメージが元に戻ってはいけないことになっている。まず進むことだ。だから前の句と同じ言葉が使われていると、それだけで失格となる。
お開きとなったのは10時を回ったところで。いやあ疲れた。だが心地よい疲れであった。
芭蕉の「猿蓑」などを読んでも、なかなか解けなかったことが実践してみると、よく理解できた。
しかし、昔の日本人はなんて高尚なあそびをしていたものか。
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