お菓子の家
ちょっと嬉しい話があった。知人に子供が生まれたのだ。男の子で3800グラムの発育のいい子だという。おめでとう。
グリムだったと思うが、「お菓子の家」という童話があった。貧しい兄と妹が森の奥でお菓子の家を見つけて喜ぶという物語。ユートピア幻想の典型といわれる。
先日、イエメンで現地の部族に捕らえられた日本人女性の二人連れの事件があった。40代の二人の女性はシバの女王の遺跡を見物しに行く途中で災難にあったのだ。解放されたとき二人が記者会見に応じて、迷惑をかけて申し訳ないと謝っていた。この事件はすぐ収束したこともあるだろうが、被害者二人の自己責任追及などという野暮な論議にはならなかった。まず、旅行代理店が現地の危険度を把握していないままツアーを実施しているし、オトナの女性二人がシバ女王伝説に惹かれての旅であったことでロマンをそこに感じさせたからだろう。グリムの兄妹のユートピアへの憧れと同じものを、二人に見た。
数年前、フランスの二人の小学生が家出をしてポーランドで保護されたことがある。女の子の二人連れで旅の目的は日本へ行くことだった。彼女たちが夢中になっているマンガとアニメを生み出しているユートピアに行ってみたかったのだ。
フランスの子供たちから見れば、「アルプスの少女ハイジ」や「ドラえもん」「ドラゴンボール」を次ぎ次に表象化する国というのは不思議に見えるだろうなあ。少なくとも、ゴッホやロートレックらがオリエンタルな国として眺めた視線とは違うものだ。
電信柱がニョキニョキ立っているのも醜くはないし、秒単位で電車が運行するのもスピード感はあるし、学生服やセーラー服も未来服のように見えるかもしれない。
そうか、私らが住んでいるこの国はユートピアか。でへへへと苦笑。
でも、むげに、野暮に、否定もしたくない気がする。けっしてこの国が若者や老人の安住できる状況にない国だとしても、もしそういうまなざしの上にあるならそれを引き受けて本気でそうなるようにやってみてもいいじゃないかと思ってもみるのだが。ここのところはこれから考えていこう。
ところで、女性二人の旅は最近よく見かける。特に海外旅行に多い。若者はともかく中高年になると男二人連れは見かけないし機会がない。バブルの時代であれば、アジアへ向う男だけの旅といえば薄汚い目的が大半だった。定年した男たちが集まって海外へ行くということはまずないが、その妻たちは頻繁に行くようになっている。特に、「冬のソナタ」の旅以来増えたと思う。男って淋しいものだ。
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