ふき泥棒
ツヴァイクの道を降りようと思って、坂に足を踏み入れると親指ほどの大きさの紫の花弁が散り敷いてあった。おびただしい量だ。空を見上げた。
木の間隠れに美しい藤の花房がみえた。薄紫のその花は可憐で清楚。春はすっかりたけていた。今年も春がゆく。
椿の赤で始まり、桃、桜のつないできた花模様は藤まで来ると黄金週間となる。ケヤキには浅緑の葉がそよぎ、全山新緑となる。やがて初夏だ。
今月に入ってから蕗の葉が少しずつ大きくなりはじめた。もう少し待てば食べごろだと楽しみにしていた。紅葉山はあちこちに空き地があって、この時期はフキの畑のようになる。
ある日、そのフキがすっかり刈り取られてしまった。まだ小ぶりでもう少し成育させるべきものを、その手前で摘み取ったらしい。
隣家の叔母さんが今朝ぷりぷり怒っていた。どうやら、摘み取ったのはこの山の住人ではないらしい。3年ほど前からフキや竹の子を無断で採りにくるふもとの町のばあさんらしい。今朝、早く犬の散歩に出た人が、その姿を目撃している。かごを背負って、手袋をはめていた。その目撃した人が散歩から戻ってくると、山の入り口の畑はすっかり坊主になっていた。住民はかんかんだ。せっかく、昨秋から育て上げたものを、黙って盗みとったということが許せないらしい。蕗の薹もすっかりやられたらしい。
これ以上、畑を荒らされないために、畑に囲いを作ろうという話になった。今週末に住民総出で垣根つくりをして、来年に備えようということだ。それほど、みんな頭に来ている。
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