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タイムカプセル

卒業アルバム

実家の2階、押入れの隅に3つのダンボール箱があった。それぞれに私、次弟、末弟の名前がフェルトペンで書かれてある。これまでの私らの記録や記念の品が納まっている。
私の箱を開けた。いろいろなものが入っている。通信簿、卒業証書、文集、名札、ゼミで配られた古文書のテキスト。箱の底には小中高の卒業アルバムが3冊きちんとある。

昭和37年度卒業と記された中学校のアルバムを開いた。そうか、卒業したのは38年の3月、38豪雪の年だったのだ。ちょうど受験と重なっていたので、地域一斉の除雪作業にはあまり加わわらなかったのだが、あの年の自由時間に雪像コンクールが中学であったことを思い出す。おそらく、就職する子らは解放された気分で、高校受験するものは気晴らしにと、学校側が配慮して企画したのだろう。とにかく、校庭にはどか雪があふれていた。私のクラスは、私の発案で、雪のヌード像を作った。乳頭に雪の塊を置くのをみんな嫌がった。発案したおまえがやれと言われて、私は耳まで真っ赤になりながらスコップに雪を載せて、ポイントに貼り付けた。まわりがドッと笑った。

 ―私は3年7組にいた。卒業アルバムの集合写真の右上に欠席者の顔だけ別に貼ってある。寺沢くんだ。隣の8組のページをめくると、欠席写真欄には山本くんがいた。二人とも私には忘れられない友達だ。小学校時代に味わった恐怖の当事者でもある。

5年生の頃だったか、私は休み時間の終わりかけたときに山本くんと言い争いになったことがある。授業開始のベルが鳴っていたが、山本くんが私を校庭の朝礼台の裏に来いと呼び出しをかけた。怖かったけど逃げるのは悔しいから、私は「決闘」場所に赴いた。

 指定された場所に行ってみると山本くんと寺沢くんの二人がいた。2対1かと思って私はひるんだ。すると、寺沢くんが、「ワシがおまえらの勝負に立ち会う。好きなだけやれ、そやけど卑怯なマネはするな」と偉そうに言った。
私は寺沢くんの意見に感服した。普段は、勉強はからきしで、青洟をいつも垂らしている寺沢くんが道理を語ったからだ。そのとき、私には寺沢くんは大前田英五郎のような大親分にみえた。

その後の記憶がない。殴り合いにならなかったと思う。互いに言い争って、その後、寺沢くんが私と山本くんの手を合わせて、その上に自分の手を重ねて、「ええか、これで終わりやど。もう余計なことを言うな」とか言って解散したはずだ。それぞれ、授業が始まった教室にもどっていった。
むろん、もどった教室で担任からはどこへ行っていたのかと叱られたが、私はなんだかいい気分だった。正々堂々と”闘った”という満足感があったのだ。

このときのことを思い出すと少し悲しい。山本くんと言い争いになったのは、私が彼の貧しさを冷やかしからだったと思うからだ。たしか、2年上に山本くんのお兄さんがいて、そのお下がりを着ているというようなことを言ったので、山本くんは憤然としたはずだ。

山本くんの家は目抜き通りにある靴屋さんで、お父さんがいつも修理をしているのがガラス戸を通して下校途中に見ていた。その仕事ぶりも冷やかしたのかもしれない。とにかく、事の原因は私だったと思う。そういう私自身、貧しい身なりであったのだが。

 私の通学カバンは親戚の叔父さんのお下がりだった。ランドセルから肩掛けカバンに変わっていく4年生の終わり、親に買ってくれと頼むと、弟二人のカバンを買わなくてはならないから、あんたはお下がりにしたと母から言われたときの悲しさは忘れない。今もあのときの自分の姿を思い浮かべると辛い。
叔父さんのカバンといっても兵隊時代に使ったというカーキ色の「兵嚢」だった。ポケットはベルトではなく紐を結ぶものだった。戦争が終わって10年も経っているのに、そんなものを使うということが苦痛だった。私は恥ずかしかったから、通学中は形が外から見えないようにして、いつもカバンを抱えて走っていったものだ。

そんな境遇にいたくせに、山本くんの継(ツギ)のあたった小倉の学生服を私は揶揄したのだろう。本当に嫌な奴だったと自分でも思う。

卒業アルバムをよく見ると、山本くんはきりっとしていてなかなかハンサムだ。寺沢くんはぬぼーっとしていて高木ブーを細くしたかんじだ。この二人は今はどうなったのかな。私たちがオトナになる頃から高度成長が始まり、人々はみな故郷から切り離されていった。おそらく、この二人とも遠い他国に行って行方は知れないだろう。

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by yamato-y | 2008-04-22 13:23 | Comments(0)
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