夕暮れの近江平野
山科の御陵平林町に”隠棲”する大先輩の一軒家に行ってきた。先輩はジローさん、奥さんも同じ職場の先輩のトヨコさんで、二人は私を歓迎してくれた。大阪の梅田のオフィスに勤務していたときの先輩である。というか、新人だった私の主任だった。ジローさんは55歳で早期に退職し、その後、滋賀大、大阪市立大と進み、修士の学位を取得した。トヨコさんは57歳の満期で退職して、神戸大大学院に入って、3年前に修士となった。二人とも大学に入りなおして勉強した努力の夫婦である。
謹厳実直な人格のように思われそうだが、ジローさんは関西人独特のユーモアのある人で、突拍子もない振る舞いと駄洒落のようなジョークを連発する愉快な人だ。白髪の桂枝雀といったところだ。人生に対していつも前向きのオプチミストである。
お二人に会うのは30年ぶり。昔話に興がのり、つい8時間ほど話し込んだ。
この真面目で愉快な夫婦は、近年老親の介護に追われていたというが、その苦労の合間に海外へ楽しい旅を繰り返していた。最近行ったスペインのサンチャゴ・デ・コンポステラの汽車の旅が忘れられないとその逸話を代わる代わる話してくれる。
最後は、梅田時代の職場の話題となる。誰それはどうした、あの人は亡くなったと、思い出に耽りながら、噂をしながら、笑い転げた。同志のような夫婦だと感じ入るのであった。
午後6時過ぎ、山科駅から快速に乗って米原周りで敦賀に向かう。
大津、石山、草津、近江八幡、能登川、彦根、米原と琵琶湖の東を列車は走っていく。対岸の比良山系の後ろに黄イチゴ色した夕日が沈んでゆく。近江路の家々が懐かしいシルエットになってゆく。街灯の明かりもぷちっと灯る。静かで平和な近江平野の風景だ。
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