一人新宿で
昨夜はタケ先生の鍼の日だった。歌舞伎町のド真ん中、ホテル街の一角に診療所がある。
日も暮れてネオンが輝きはじめた頃、私は診療所の戸を開けた。
体調はおおむね良し。気温の変動が激しいから、上着を常時着用しておきなさいというのがタケ先生の忠告。転ばぬ先の杖、よく聞いておこう。
駅にむかって歩く。靖国通りで信号待ちをしていると、中国人観光客の団体がバスからどっと降りてくる。添乗員らしき女性が小旗をもってコマ劇場のほうへと繰り出して行く。この2、3年、アジアからの(とりわけ中国)お客さんが新宿に増えていると実感する。
紀伊国屋をのぞく。文庫本コーナーで迷う。コーンウェルの新作を買おうかどうしようかと思案する。スカーペッタシリーズの『異邦人』だ。今回の舞台はローマということで、今ひとつ乗りにくいかなと懸念することと、2冊本になっているのが出版社の企みだと思うといまいましい気持ちがかぶさって、購買欲をつい阻害されてしまう。結局、立ち読みしただけ。
お多幸の前を通ると、中は中年の親父がほとんどでほっとする。ここは太宰治が通ったおでんの店で、ときどきのぞくが、今夜はそんな気になれない。
東口地下街へ入ると、相変わらず若い者たちの世界。若い娘たちの化粧が濃く、みな同じような顔をしている。昔は(といっても20年前)、素顔できりっとした女子学生もいたものだが、今は厚化粧の顔ばかり。
山手線が来た。5号車に乗る。目黒ではちょうど階段の前になるのだ。8時過ぎだが、電車の乗車率は80%で空いていた。
渋谷でどっと降りて、恵比寿でまた降りて、目黒では6割ほどとなった。
暑くもなく寒くもなく、いい気候だ。白金方向へぶらぶら帰ってゆく。群れるのも嫌だが一人も淋しいものだ。
なんだか、この記事もサラリーマンの生態日誌になってきたな。
さて、明日からまた京都の大学の授業が始まる。
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