春や春
うらうらと日が照っている。春の長閑な昼下がり。
大磯のお屋敷の垣根にも真紅の花が咲き誇っている。
わがもみじ山の麓に有名人の邸宅が2軒ある。一つは安田善次郎の屋敷。あの、5・15事件で暗殺された安田財閥総帥の家だ。オノヨーコさんの祖父にあたる。
もう一つは瀟洒な数寄屋造りの日本家屋で、劇作家であった福田恒存の家だ。
この家の見越しの桜が満開、というより最後の花を誇っている。

近年、中野翠らが高く評価する人物だが、ぼくらが学生の頃は右派の論客として、若者にはあまり人気がなかった。格調高い文章は立派というより嫌味に感じた御仁だが、その家は実に美しい。
先日放送された、世界遺産の特別番組「アウシュビッツと広島」を見た。メインのディレクターとは、アウシュビッツ生還者のドキュメントをいっしょに作った中だけに、興味深く見た。アウシュビッツの「証言者」はポーランド人のパルチザンで、この人物は実に魅力的だった。また、カメラもリリカルかつ重厚で、見ごたえがあった。
それに比して、広島はやや物足りなかった。韓国人被爆者の視点で広島を見るといことに徹していることは理解するが、逆に単調になった気がする。広島の“多様性”ということもあっていいのじゃなかっただろうか。
そこに登場する唯一の日本人、平岡敬元広島市長の顔はよかった。本職は中国新聞の記者で、現役時代、渡韓して、その悲惨な状況を告発したという伝説をもっているが、その後保守党から市長に出馬しながら、見事に信念を貫いた人である。その面差しが美しかった。
さて、この週末は、戦争の記憶というテーマで、60年にわたる「原爆報道」の内容について検証するつもりだ。本棚に仕舞い込んであった、長崎、広島の原爆番組の資料を引き出してとりかかる予定だ。
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