別れと旅立ちのとき
今朝のワイドショーで鹿児島の離島の小学校の卒業式の様子を伝えていた。
言いふるされてはいるが、3月は別れと旅立ちのときだ。これまで、ずっと卒業していく心の側から見てきた。40になっても50になっても、旅立つ不安に心寄せながら卒業ということを考えてきた気がする。
今年の心境はいささか違う。卒業してから30年40年経ったときの立場に身を寄せているのだ。
あの頃、別れるのは寂しいが、これから先を考えると不安と緊張はあるが、それでも何かが始まり人生が動いていくのだという期待のほうが大きかった。だから別れの悲しみは一時のものでしかなかった。
金沢の友人が、「おまえ、仏教が教える『愛別離苦』という言葉を知っとるか。愛する人と別れる苦しみやぞ。」
この友と30年ぶりに再会したときに、この話が出た。友は、この四字熟語はもう一つ対句があるのだという。
怨憎会苦—怨み憎む者とこの世で会わなければならぬ苦しみ、という言葉もあるのだ。
なるほど、旅立ちの不安というのはこの怨憎会苦が待ち受けているかもしれないという直感が働いていたのかもしれない。だが、卒業して40年、定年まで勤め上げて振り返ると、愛別離苦のほうが思いとして勝ってくる。
卒業にともなう愛別離苦は、一時の別れかもしれない。だが本来は愛する者を喪失する悲しみ、幽冥境を異にすることを指すのだろう。今回の旅では、知らないうちに幾人もの知人が旅だっていたことを知った。
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