定年再出発 |
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友あり
二人の友のことを書こう。 一人は30代のバッキー、もう一人は私と同年のミスターレッド。 昨日、バッキーが突然訪ねてきた。5年ぶりかな。かつてはプロダクションのディレクターとして、私といっしょに葉祥明さんの課外授業などを制作した仲だ。当時は長い髪の格好いい気鋭の放送人だった。 でも私生活が荒れていて、彼自身精神が不安定だった。感情の起伏が激しかった。 ある番組を作り終えたときだ。最後の局試写に臨んだ。クライアントに「商品」を見せて納品する重要な儀式だ。試写室では、作り手である我らはとても緊張するものだ。 その番組の試写で佳境に入った頃だ。突然、携帯電話のコール音が流れた。慌てて、部屋の外へ出てゆく者がいた。バッキーである。 試写は大過なく終えた。これといったクレームもなかった。仕事がうまくいったので新宿で打ち上げすることになって、タクシーに分乗して会場に向かった。私はバッキーといっしょだった。私は、彼に試写中に携帯の電話が鳴らないようにするのがプロの姿勢だろうと叱った。 うな垂れて聞いていたバッキー。頬が強張りまぶたがひくひくした。突然、携帯を取り出して強く握った。何をしてるんだろうと怪訝に思った。 バキッ。携帯を折った。魂消た。そこまですることないじゃないか。「すみません。僕が至らなかったのです」大粒の涙をバッキーはこぼした。 以来、私は彼をバッキーと呼ぶようになった。当時、彼はパートナーとの関係で苦しんでいて精神が不安定だったのだ。 昨日、会ったバッキーは坊主アタマになっていた。痩せてはいたが終始にこにこしていた。 「今、プロデューサーをやっているんですよ」と照れくさそうに名刺を差し出した。あれから前の女性と別れ、去年再婚したと語っていた。幸せそうな顔に、こちらも嬉しくなった。新年度番組でこれから1年間レギュラーをプロデュースすることになっているそうだ。 もう一人の友、ミスターレッド。芸大の楽理科卒という「芸術家」だ。赤い色が好きで、必ず服装のどこかに一点赤を取り入れている。ネクタイやベストなどという分かりやすいアイテムだけではない。見えない靴下、ベルト、ハンカチ、などいろいろな小物にあしらっているのだ。彼独特の美意識だ。はっきり言って変わり者だ。今、私が所属する部で4年前に同席することになった。 歯に衣着せない物言いは、私とよく似ていて、すぐ友達になった。つまり、私も変わり者なのだ。 3月の初旬、彼は脳出血で緊急入院した。命には別状ないと知らされたが、半身が不随になっていると見舞った者から聞いた。3月20日の本番を抱えていた私はすぐには見舞いに行けなかった。直後の見舞いは本人もそうだが、家族に負担が大きいということは、自分の体験で知っていたから、半月ほど待って、本日初台にある病院へ見舞いに行ったのだ。 レッドは車いすで迎えてくれた。顔が少し小さくなっていたが、気力は失せてはいない。まずよかった。14年前に、私も同じ病気で倒れたことを話すと、熱心に耳を傾ける。 「足の麻痺がしだいに薄らいで来るのを感じるよ、最近。」半月ぐらいでそんなによくなるはずがない。彼は焦っているようだ。 私はまあ急ぐな、時間というのも必要なのだと、やんわりたしなめる。たしなめながら、私もそうだったと回想していた。少しでも良い兆候を探し出して、自分は快復しているということを確認したがったものだ。そう思わないと自分が崩れていくという恐怖感があったのだ。現役で倒れることの口惜しさを、私は包み隠さずはなした。でも、苦難はあったが、今日ここまで快復しているぞと、私は自分の体を誇示して励ました。彼は、時折、目に涙を浮かべた。 病室を出るとき、「また来てよ。待っているからね」とレッドは私になんども声をかけた。 当たり前だ。何度でも来て、ウルサイと言われるほど話してやるよと、憎まれ口を私はきいた。 病む友へ花たよりせむ代々木かな 来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
by yamato-y
| 2008-03-27 17:04
| 魂のこと
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