桜を見つつ
センター西口前の桜はほぼ開いた。春の穏やかな夕日のなかでひっそりと、だが華やかにたたずんでいた、桜は。
花の向こうに薄いもやのかかった空が広がっていた。
そのまま会社の書店に行ったら、立ち読みをしている若い女性がいた。よく見ると、Kさんの娘さんだ。声をかけた。驚いた顔が、亡くなったお父さんとそっくりのまなざしとなる。懐かしい、あのKさんの目だ。
在りし日の師のまなざしや春の雲
日が暮れる。渋谷、神山町、懐かしいような風景となってゆく。桜は花を付けたばかりで、しっかり立っている。
友人が選んだ題は、「またふたたびのいきがい」であった。
おこがましいが、私が「定年再出発」と名づけたことと通いあうのではないだろうか。
ありふれたことだが、悲しみに沈んだとき、周りの風景も蒼ざめるという。
たしかにそういうものを見たことがあった。
今、夕間暮れのなか、ひっそりと、だが華やかに立つ桜を見ていると、この風景の有難さを思う。忝い(かたじけない)ということか。
独り居るかたじけなさや夕桜
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