定年再出発 |
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ユマニスト・人文主義者
大江さんの『日本現代のユマニスト 渡辺一夫を読む』は面白い。セミナーの講演を書き起こしたものだから、あの“難解”な大江文体に悩まされることが少ないせいかもしれない(笑)。素の大江さんがそこにいる感じがある。 ユマニスト(Humaniste)とは人文主義者(じんぶんしゅぎしゃ)のこと。ルネサンス時代にギリシア・ローマの古典文芸を研究した知識人を指す。 英語で書くとヒューマニスト(Humanist )となり、日本語の「人道主義者」の意味が大きくなるがそうではない。 ウィキペディアによると、《中世の時代を暗黒時代とみなし、古代の古典を学ぶことによって人間性が完成すると考えられた。中世のスコラ学が神学的な概念中心の学問であったのに対し、古典研究を通して、より自由な思考ができた点に特色がある。》とある。ルネサンスの先駆けになった存在であろう。 余談だが、インターネットというのはすごいものだ。アカデミックで難解なこともすらりと出てくる。ただし、誰の責任でそういう表現になるのかは不確かだが、一応座右で参照するには具合いい。 大江さんは東大の恩師渡辺一夫のフランス・ルネサンス研究をこの本で解析解釈している。 大江さんが渡辺をどれほど敬愛していたかは、ノーベル賞の記念スピーチでも言及したことからも分かる。 フランスユマニストが活躍した時代というのは、旧教と新教が対立していた宗教戦争の時代だ。アンリ4世やカルヴァンやジャンヌ・ダルクが現れた時代で、新旧キリスト教徒が互いに不倶戴天の敵とみなしていた。そのときに渡辺が愛したユマニストたちは「寛容」ということを説いたのだ。 このとき提出された命題は。<寛容(トレランス)は自らを守るために不寛容(イントレランス)に対して不寛容(アントレラン)になるべきか?> 新教の厳格な変革者、カルヴァン。彼は元来頑なではなかったが、権力をもち自分が宗教運動の指導者として仕事をするうちに不寛容になっていったと、渡辺は解説し、大江もまたカルヴァンの苦境に同情もしているのだ。ここが可笑しい。あの美しい生き方を書きもし実践もする大江さんが、「清濁合わせ飲む」心意気でカルヴァンの人生を見ている。 48歳の大江所見である。 カルヴァンに異議を唱えたのがセバスチャン・カステリオンだ。チューリッヒのカルヴァン支配を宗教改革という大義があるからといって、その恣意性を許されるものでないと批判した。永久革命者である。カルヴァン派から狙われることになる。そして捕縛寸前にカステリオンは病死するという劇的な展開の小説を書いたのが、シュテファン・ツヴァイクだと大江さんは紹介している。私のもっとも好きな小説『権力と闘う良心』。久しぶりにみすずのツヴァイク全集を読みたくなった。 この『日本現代のユマニスト 渡辺一夫を読む』は渡辺一夫の人生がユマニストであるということを論考しているが、デタッチメントすれば(引いてみれば、ズームバックしてみれば)、大江健三郎こそ現代のユマニストであることを浮き彫りにしている書である。 このデンで言えば、現代日本のユマニストはというと。 大江、井上ひさし、河合隼雄、池澤夏樹、村上龍、小松左京、の人たちを私は挙げてみたい。 さしずめ、河合さんは「心のノート」の問題で、体制の御用といわれんばかりの評価を受けたが、果たしていかがか。この評価は、これから20年、30年経たないと分からない。 往時のユマニストたちも、「人文主義者の中途半端さや限界が指摘されること」と批判されたりしたが、2000年を超えて世界が新しい情勢に変化すると、その現代性(イスラムに対する寛容の問題)において重大な意義をもつようになっている。 ユマニスムはユマニストが現れて結実した思想となる。その定義とは、大江流にいえば、「人間は滅びるかもしれないということを認めた上で、しかしなんとかそれを押し返して、人間らしく生き延びることを考えてゆこうじゃないか、それが人間らしいことではないか、という考え方」であることになる。 来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
by yamato-y
| 2008-01-08 12:19
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