2008年のツヴァイク道
正月3が日はいい天気だ。年賀葉書を出しに駅まで行く。穏やかな冬の日差しがツヴァイク道の森に落ちている。山が茶色一色かと思うと、赤い実がある。自然は怠り無い。
マルクス・アウレリウスの『自省録』(岩波書店)を読む。翻訳はあの神谷美恵子だ。断章で読みやすいこともあるが、2000年前の賢人の言葉が一つ一つ身にしみる。
《正しい道を歩み、正しい道に従って考えたり行動したりすることができるならば、君の一生もつねに正しく流れさせることができる。神と人の魂、またすべての理性的動物の魂につぎの二つのことが共通である。すなわち他人から束縛を受けぬこと。また善とは正義にかなった態度と行動にありと考え、そこに自己の欲望をかぎること。》
アウレリウスの哲学はストア派だ。ギリシアに始まりローマ帝国で栄えた哲学だ。その教えは、自然にかなった生活。この自然とは宇宙を支配する理性または理法である。
自然に生きることの要諦に善があって、「善とは正義にかなった態度と行動にありと考え、」という記述は今の私を捉えて離さない。
夕暮れのツヴァイク道に立って、暮れなずむ相模の海を見ていた。雲の流れのように、さまざまな思いが去来する。
帰宅すると、衛星第2放送で「叙情歌全集」が放送されていて、「砂山」が歌われていた。
砂山の砂に 砂に腹這い
初恋のいたみを 遠くおもい出ずる日
初恋のいたみを
遠く遠く ああ ああ おもい出ずる日
たしか、この歌は、ニューヨークに住むT君の十八番だった。オペラ歌手として異国で頑張る彼が、一度大磯へ来たことがあって、我が家でこの歌を歌ってくれたことがあった。
歌というのは、思い出と懐かしい人を連れて来てくれる。今も、元気でやっていてくれると嬉しいが。
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