2008年、光る青い目
よりにもよって昨晩つまり大晦日、私は鬱たる気分になった。当然、家族の顰蹙はかう。
落ち込む気分を無理に変えることもできず、独り満天の星を眺めることとなった。(歳晩の夜空は最近になく美しい星座をたくさん見せていた。)
明けて2008年元旦。遅い朝食を摂った後、私は散歩に出た。久しぶりに長いコースを選んだ。
まず裏山のハイキングコースに上がり、紅葉山頂上に立つ。そこから相模湾を一望。元旦の海は穏やかで輝いていた。尾根伝いに隣の山へ移動。高田公園に出る。正面に伊豆大島の島影が見える。
高田公園から山道を下ってゆく。眼下の屋並が美しい。大磯小学校前から鴫立庵までバス道に沿って向かい、国道をだらだら歩いてこゆるぎの浜をめざした。
浜にはサーファーがおおぜいいた。2008年のサーフィン初乗りか。横目で見ながら、私は水際を裸足で歩くことにした。おりしも満潮で波が大きく寄せてくる。最初は冷たかった海水がしだいに感じなくなる。
サーファーの賑わう浜から少し離れた波打ち際に、大きな魚が打ち揚げられていた。カジキのような角があり長く大きな横腹をぴくぴくさせている。気がついて近寄ろうとしたとき、その深海魚の目が光った。青いルビーのようなまばゆい光だ。口をゆっくり開けている。まだ生きているのだ。
酸欠で口をぱくぱくしている深海魚はまるで私だった。息苦しく、たえだえになっている。
思わず、私は尻尾を捕まえて海のほうへ引きずった。小波をかぶると魚はやや揺れて反応を見せた。でも自力で泳ぎだそうとしない。私は尻尾をつよく握って、思い切り遠くへ放った。寄せてきた大波に魚は吸い込まれ消えた。
砂浜を歩きながら、あの魚を思った。青い光が目に焼きついた。「Outgrow=生き延びる」とぶつぶつ呟いた。
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