おひとりさま
手にとった2冊の本が同じ方向を示すものだった。
上野千鶴子『おひとりさまの老後』、養老孟司『養老訓』。
上野本は女たちの老後を提案したもの。養老本は老人のなり方を伝授したもの。
それぞれ、共感を持つ箇所があったり、蒙を啓かれる箇所があったりした。私と同年の上野の語り口はややフリッパント(はすっぱ)で好きではないが。
こんな本は40代の私だったらハナにもひっかけなかったに違いない。「先のことなんて、そのときになって考えればいい」。そう思っていたはずだ。
なのに、なぜこんな内容に目が向くかは、自分でもおおよそ見当はついている。次第に大きくなってくる老いの影が気になってしかたがない。
昨日、友達から言われた言葉が胸奥に鈍く響く。
「おひとりさまが怖いかい?」
おひとりさまは、何も老後だけのことではない。職場にしても、仲間内でもある。その、おひとりさまを怖がっているのじゃないかと、指摘されたのだ。
さりげなく、「そんなはずはあるまい」とこの言葉をやり過ごそうと思ったが、意外にも心底にどすんと落ちてきた。
―そうなのだろうか、私はおひとりさまを怖がっているのか。
心の井戸を覗いてみる。それらしい影が現れない。なのに、なぜ気になったのだろう。
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