南部坂雪の別れ
昨日、広尾の都立中央図書館へ行った。ここには200万を超える蔵書があるので、浅草演芸史を調べるために都合がよい。地下鉄の広尾駅から有栖川公園をぬけて小高い丘を登ると図書館がある。
公園横の急な坂は南部坂とある。忠臣蔵に出てくるあの南部坂か。そう言えば明日は赤穂浪士討ち入りの、12月14日だ。感慨にふけっていたら勘違いをしていた。東京には南部坂は2つあったのだ。
南部坂雪の別れーー浅野内匠頭夫人の瑶泉院は未亡人となった後、実家である備後三次藩の中屋敷へ移っていた。討入の前夜に大石内蔵助が報告に行くのだが、吉良側の間者が居ると知って、瑶泉院には決行のことを告げることができず、そればかりか不興をかって、雪の中を大石がすごすごと帰って行くというあの名場面の舞台、それが南部坂だ。小雨が降って肌寒い広尾の道を歩きながら、その出来事に思いをはせて、図書館に行って調べたら、この南部坂は違って本物は赤坂にあることを知る。
とはいえ、この図書館のロケーションは実にいい。有栖川公園が広大で静かで美しいのだ。戦前、この地に有栖川の宮の邸宅があった。大きな池があって数羽鴨が泳いでいた。兼六園の琴路灯籠を細身にしたような灯篭が雨に打たれていた。
坂を登って図書館の前に立つ。5階建ての建物が周囲の森と調和がとれて美しい。内部もきちんと整頓され、係員の態度もきちんとしていて好もしかった。
5階の特別資料室で浅草関連を調べる。6時過ぎまでいた。
とっぷり暮れた公園をくだり、広尾駅に向かう。途中で「つくしんぼ」を見つける。麻布霞町の茶寮つくしの姉妹店だ。たぶん肴も酒もうまいだろうと、つい暖簾をくぐる。
熱燗とたたみ鰯を頼む。たたみ鰯が炭火であぶられると、香ばしいかおりがして熱燗がうまい。でも銚子一本で早々に退散した。

バス通りに出ると、広尾のイルミネーションが見事だったので、思わずシャッターを切る。
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