浅草3大コント
昔をよく知っている人に、浅草のことをあれこれ聞いた。ギャグというのもかつてはシチュエーションの中に周到に埋めこまれていたが、今は一発ギャグの様相に変わっていてその人が言うには最近の若い人は意味をはき違えているそうだ。
かつて、浅草中の芸人が知っていたコントがあった。3大コントという。ジンタン、テンドン、××、の3つ。最後のタイトルは失念したので、今度会うときまでに思い出しておくよということ。当たりコントで、とにかく客を笑わそうと思ったらこの3つの中のどれかをやればいいと芸人たちは知っていた。
ジンタン。仁丹のことだ。森下仁丹が発売している口中清涼剤。パッケージの「将軍マーク」が有名だ。「消化と毒けし」が目的で口にふくむ銀の粒。生薬を銀でコーティングしてあるのだが、その匂いは独特で強烈でもある。昔のオヤジはよくジンタンを口にふくんでいた。煙草のヤニの匂いとジンタンが混じると最悪だった。オジさんは懐中もしくはカバンの中に入れていた。
コント「ジンタン」の登場人物は3人。オマワリ、泥棒、謎の通行人。
大きなカバンをかかえた挙動不審な男(泥棒)をオマワリが呼びとめて、カバンの中身をあらためる。カバンの中には何が入っているかオマワリは一つ一つ詰問する。カバンの中は見せないようにして。泥棒からは見えないが後ろからは丸見えになっている。そこへ通行人が来る。オマワリを挟んで泥棒と通行人はジェスチャーでやりとりする。歯ブラシであれば、口のところへ手をもっていってゴシゴシ磨くふり。手ぬぐいであれば、首にかけたものをとって汗をぬぐうふり。といった塩梅で、泥棒は不審尋問をなんとかやり過ごす。
最後にジンタンが出てくる。これがなかなか伝わらない。泥棒も通行人もイライラやきもきする。
そして、通行人は思わず、「ジンタン」と声を発する。
その人が言ったことを筆記したが、身振り手振りで演じられると可笑しい。これを20年ほど前に再現したことがあるとその人は教えてくれた。由利徹、南利明となべおさみだった。なべだけは浅草育ちではなかったので、やや味が違ったがそれでも場内爆笑だったそうだ。
こうやって聞くと、テンドンと××の内容も知りたくなる。思い出してくださいよと、私はその人にお願いして、来月もういちど会うことにした。
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