ショージくんとシーナくん
シーナマコトの最新作を読む。なんだか、ちっとも面白くない。なぜかな。
シーナ独特の言葉も神通力がない。交通安全の日になると、黄色いテントが立ったりして老人たち(交通安全会の人)が動き回るのが、逆に交通にとって危ないのじゃないかという話など気が抜けている。始まって4半分のところで落ちが予想できてしまう。
昔、あれほど熱く心を捉えた文章がさっぱり。期待はずれだなと新刊を閉じた。
帰って、ショージオサムの漫画の単行本を読む。『漫画文学全集110選』、文学の名作の御題を用いて現代の生態を描くもので、ショージくんの『タンマ君』のような大爆笑はない。にやりとする意味深の笑いもない。そこそこの薄い笑いだけがある。ショージくんは漫画よりエッセーのほうが近年調子がいいのじゃないか。彼のエッセーはツボにはまるとめっぽう面白い。一人で読んでいてはつまらないから、隣にいる奴に読ませたくなるほど面白い。でも、この『漫画文学全集110選』はあまり響いてこない。”教養”が半端でツマラナイ。
この二人は気が合うらしく、かつて対談してグルメ本を作っている。題して、『シーナトショージの発奮忘食対談』。読んだことがないが、まだ初々しい頃の作品とすれば読んでみたい。
シーナくんの作品がつまらないのはリッチになったからじゃないだろうか。いや、今でもバッティングセンターに行ってますよ風の文章があるのだが、はっきし言ってイヤミ。
忙しい忙しいと、年の半分はオシゴトで旅だとか。その旅先ではかならず昔からの友人が待っていてくれて酒盛りが続く。これじゃ、定年になってなんとなく張り合いを失っている世代とは調子は合わないよな。
80年代の若いサラリーマンが読む週刊誌は週刊ポストだった。とんがった政治記事も社会ネタも、加えてエロネタもごっつーおもろかった。そこに連載されるシーナくんの青春小説もよかった。今の彼からは考えられない。
ああ、悪口言うとすっきりするな。「荒地」の同人ではいない奴は皆悪口の対象だった。田村隆一は飲みに行って席につくと開口一番「さあ、悪口言うぞ」だったそうだ。
シーナくんももっと悪口を書いたらいいのに。あっ駄目だ。彼はハッピーだから対象がないのだ。「金持ち喧嘩せず」だものな。
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