柿の実
東海道線で戸塚を過ぎて横浜を向かう途中で小高い山をぬける。今日、そこに実をいっぱいつけている柿の木を1本見つけた。
晩秋の冷たく澄んだ青空の中に、実がたわわになる柿の木を見ると、ああ日本だと思う。
冷たい青に赤い柿というのはよく似合う。
昔、奈良の王寺に住んでいた頃、帯解あたりを歩きまわって、そういう風景を目にしたものだ。山口百恵の「いい日旅立ち」を聞くと、その光景が浮かんでくる。
幼い頃、食べられるということでよく柿の木を探した。たいていは渋柿だが、農家の庭から伸びている枝には甘い柿があったものだ。先がとんがっているので爆弾と呼んでいた。この爆弾は熟すととろとろになって、枝から落ちてくる。そのころあいを計ってその下で揺さぶって手にいれるのだ。ときには口を開けて待っていると、鼻とか額に当たって砕け散る。その破裂のさまを見て爆弾と呼んでいたのだろう。
初冬のイタリアに行ったときだ。北イタリア、ベネト地方に柿の木があって、赤い実がすずなりになっていた。現地の人は「カーキー」と呼んでいた。フシギな偶然もあるものだと感心したら、その言葉は日本から来たものだと教えられた。
天正の4少年遣欧使節の一行が伝えたというのだ。その村にも、彼らは立ち寄ったことが今も伝説として残されていると聞いて、胸が熱くなった。おそらく少年使節が伝えたわけではないだろうが、日本から到来した柿を少年使節と結びつけて記憶していることに感動したのだ。
来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
人気blogランキング