24(トェンティ・フォー)
ドラマ「24」のシーズン5を昨夜見た。ほんのちょっとのつもりがずるずると6時間。はまるというより引っ張られた。このドラマは、アメリカの連邦機関であるCTUロサンゼルス支局の捜査官ジャック・バウアーがテロリストと戦うサスペンスアクションだ。1話1時間の全24話で完結する仕掛けで、どんでんに次ぐどんでん、スピード感のある演出で見る者を虜にすると評判の作品だ。
2001年にアメリカで放送が開始され大評判となった。9・11のアメリカ同時多発テロ以降のアメリカ人の気分と合致したのだろう。「テロとの戦い」を、リアルに描いた作品として高い評価をうけるにいたった。
シーズン5の内容は。捜査官のバウアーは追われる立場となり潜伏することとなった。ある日、彼が慕っていた元大統領のパーマーがテロリストによって狙撃され死亡。暗殺されたのだ。彼はある陰謀について知っていたため消されたようだ。ロシアをめぐるテロ計画が潜んでいたのだ。元大統領暗殺・空港占拠・神経ガス散布テロ・ロシア大統領襲撃と、テロリストの残酷な攻撃が波状的に続く。
テロリストの正体はロシアから独立を願うものたち、これはチェチェンゲリラを彷彿とさせる。彼らはロシアの圧制に抗して、自爆テロも辞さない決意で神経ガス攻撃を開始するのであった。(ロシアで行う予定のガス攻撃が事前に発覚したため、アメリカで急遽行うことになったのだ。)
テロリストたちはアメリカの市民の犠牲も厭わない冷酷な男たちとして描かれる。しかも黒幕はより悪辣になって次々に登場するのだ。現場のチーフは悪徳業者を殺し、そのチーフはさらに上位のものから見捨てられ、その上位はさらに冷酷な組織の長によって殺される。悪党が次々により冷酷さを備えて登場し、残酷な存在を強調する。どこまで続く残酷人間、悪党の連鎖か。
これって、昔見た東映時代劇の悪党連鎖のようだ。悪いチンピラの兄貴分が吉田義夫、その親分が進藤英太郎、それと共謀する悪代官が山形勲。その上位にあって一番の悪が、家老の月形竜之介という、あの流れだ。
が、しかし、テロリストがそんなに冷酷無残な男たちなのか。彼らは非人間的で、一分の大義ももたない者たちなのだろうか。ドラマの中でも語っているように、ロシアの残酷さと同じような残酷さをロシア人たちにも味わわさせるために、テロを敢行するという「愛国者」の側面をまったく捨象する。これは、ナチに立ち向かうパルチザンたちのようにも見えると言ったら言いすぎなのだろうか。テロリストというレッテルを貼って描かれるその人物像の一面化に、違和を感じた。
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