誕生すること
宇宙が誕生して130億年になるという。霊長類が誕生して6500万年。
歴史が生まれて5千年。1人の人間が生きて百年。
人間が10代続いて1千年。それを10倍重ねて、やっと一万年だ。それを一万個倍して1億。それが130倍もさかのぼらないと、すべての根源にたどり着かないのだ。
その長い時間の紐の、ほんのひとかけらに人類はあって、さらにほんの小さな糸の上に印をつけたに過ぎない私たちの一生。とるに足らないといえばそうだが、よくもこんな偶然が重なってここにあるなと思えばたいした存在ともいえる。
吉野弘の「Iwas born」ではないが、(私が)誕生したという言葉はよく考えると自動詞ではなく、生まれたという他動詞だ。私が意志してこの世に現われたわけではない。何ものかによって、この世に押し出されたわけだ。何ものは何物か何者か、何なのだろう。
でも、宇宙が生まれて130億年経って現在とすれば、また限りある時間の中で宇宙も消滅するだろう。その前に人類は滅亡するだろう。それははっきりしている。永久に人類があるわけではない。ましてや、個人の一生は目の届くところで発生し消滅する。
それが分かっていても、人間はあくせくジタバタして生きるものでもある。
露更けし星座ぎっしり死すべからず 新比古
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