定年再出発 |
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ドラマという手法も大変だ
昨日とうって変わって暖かい朝だ。気持ちがいいし過ごしやすい。田舎で1人暮らしている母のことを考えれば暖冬は有り難いが、温暖化の危機を思うと嬉しくもない。このままで推移すれば今世紀末には平均気温が6・5度も上昇するという。夏には45度近くになるとすれば日本列島どころか地球の生物全体が深刻な事態になるのは明白だ。その頃には生きていないからと言って放置してよいかと考えてもみるが、政治に期待しても空しいしかといって個人の努力を超えてもいるし、と千路に乱れる。藤原定家のように「紅旗征戎吾がことにあらず」とほうっかむりを決め込むしかないのだろうか。 昨夜遅く、昭和31年の日活映画「乳母車」を見た。田坂倶隆の名作の誉れ高い文藝作品だ。田坂は戦前に「五人の斥候兵」という戦争映画を撮っているがこれがなかなかの作品だった。一説には黒澤の「七人の侍」の原型ともいわれる。「乳母車」当時、田坂はもはや巨匠になっている。だから期待した。 原作は石坂洋次郎。出演は芦川いづみ、石原裕次郎、新珠三千代そして宇野重吉だ。 芦川は鎌倉に住む金持ちの1人娘で女子大生。父の宇野重吉は丸の内にある会社の常務とくれば、「晩春」の小津や「山の音」の成瀬巳喜男の世界とよく似ている。晩春は原節子と笠智衆、山の音は原節子と山村聡。だが前の二本に比べて残念ながら見劣りした。 晩春の原作はたしか広津和郎、山の音は川端康成だ。いわゆるこういう純文学に比して、乳母車の石坂洋次郎は通俗小説だからか。そういう甘さは見受ける部分もあったがそれだけではないようだ。 配役か。主役の芦川は、二作の原節子に比べて悪くはない。ただ彼女が言いたてる理屈が小ざかしいキャラクターだからか深い共感をもちえない。これは役者の問題ではなく原作と脚本の問題ではある。石原や新珠はそれなりにいいが、父役の宇野重吉が笠智衆や山村聡に比べてうそ臭いのだ。キャラクターは山の音の山村に近い、温厚だが芯があってクラシックが好きなブルジョワという役どころだが、まるでリアリティがない。宇野はうだつの上がらない老いたサラリーマンのイメージしかないのに違う役を「演じて」いた。でも、これだけではない。もっと他の理由でこの作品が「晩春」「山の音」になりえないと思う。余談だが、後年になってスタアの石原裕次郎と民芸の宇野重吉の関係が深いと知って奇妙に感じたことがあったが、この昭和30年からの付き合いだったのだ。 この映画の撮影技術は小津組よりもいいのだが、画に重みがない。何故か。おそらく全体を指揮する田坂の問題なのだろう。手馴れていて小津や成瀬風に撮ることも出来るが、仏を作って魂が入っていない状態の映画に仕上がっている。田坂監督はどこか”流して”撮っている気がしてならない。 まず、こういう原作を選んで作品にしようと考えた点、宇野の配役の点、薄い風景描写(但し、九品仏のお寺はいい)の点などが相まって、ドラマツルギーが深まらない。見終わった印象は、先日見た「続3丁目の夕日」のような物足りなさだった。 この映画が作られた頃は日本映画の全盛期だ。小津がいて成瀬がいて、一方で黒澤明も木下恵介もいたのだ。内田吐夢も小林正樹もいた。こういう「場」があったからこそ田坂もチャンスが来るのだが、生かしきれていない。といって、昨夜見た筋を追いかけるのがミエミエの社会派テレビドラマなんかよりずっと心には残ったのだが。 10チャンネルで今度松本清張の「点と線」をたけしでリメイクするという。そのメイキングの番宣番組があったが、そこでCGの細密ぶりを言い立てていた。担当のディレクターがこの作業にこめた意気込みを語っていたが、何か違うなあ。昭和30年代の風俗、景色をリアルに再現したというが、それはドラマの本筋に繋がるのか、こんなことに力を注ぐのでなくという感想をもった。かつてやはりテレ朝でドラマ化された、恩地日出夫の「戦後最大の誘拐」は泥臭いロケだったが凄かったぞ。 映像で表現するということは大変なことだ。映画だから、ドラマだから、といって対岸の火事、他人事のようにして済ませるわけにはいかない。たちまち、今度作ろうとする「大衆芸能」の主題をどう自分のものと出来るか。 来られた記念に下のランキングをクリックして行ってくれませんか
by yamato-y
| 2007-11-18 11:56
| 登羊亭日乗
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