幼馴染の死
昔、石田あゆみの歌で「サチオくん」というのがあった。どんな内容だったか忘れてしまったが、苦しい歌だなと思った。
昨日届いた手紙は幼馴染の妹からだった。二年ほど前に亡くなったときのことを知らせてくれる手紙だった。
子どもの頃いっしょに遊んだ明るさとはまったく違った、苦しい人生がそこにあった。
今わのとき、妹が兄に「小さいころ、海で泳いだことはおもしろかったな、兄ちゃん」と呼びかけると「あの頃にもどりたい」とだけ言ったそうだ。
彼の遺志で遺骨は北陸の海に散骨された。よく泳いだ場所と水島あたりの美しいポイントに遺灰はまかれた。海に静かに沈んでゆくとき、灰はうれしそうにみえたと記されていた。
私は一日中彼のことを、彼の人生を思っていた。小学校のたった二年しか席を同じしただけだが、振りかえると私は彼をずっと懐かしく思っていたのだ。
初めて赤玉ポートワインを飲んだのは彼の家だった。「OK牧場の決闘」のレコードを聞いたのも彼の家。
ふっと沢田研二の「風は知らない」という歌を思い出した。
風は飛ぶ 大空の上を
空にある広さを 風は知らない
夕方、打ち合わせで銀座に出た。
終わってビルから出てくるとすっかり暮れていた。数奇屋橋の交差点をわたり有楽町のガード下へ行った。山手線が不通だったので居酒屋で飲んだ。1人で飲みたかった。
追:この部分は11月9日の正午に書いている。出社したら、妹さんからメールがあって、「本日は兄の命日です。海へ行ってきます。」とあった。
そうか、今頃、彼は昇天したのか。
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