準グランプリ
昨夜、六本木ヒルズのハリウッドホールで開かれたATP賞授賞式で、私の作品「闘う三味線 人間国宝に挑む」は総務大臣賞とドキュメンタリー部門の最優秀賞はいただいたものの、グランプリは惜しくも逃した。
午後4時から始まった各賞(新人賞、特別賞、長寿番組賞)などの発表が続き、6時前にATP加盟の70のプロダクション各社によるグランプリに向けての投票が行われた。優勝した情報部門「海猿」と五票ほどの差で私の作品は準グランプリでとどまった。この模様が9時のニュース9で流れた。私が挨拶するところが一部出たらしいが、恥ずかしくて見ていない。
負け惜しみで言うのではないが、グランプリまで行かずにほっとした部分もある。というのは受賞スピーチだ。総務大臣賞、最優秀賞と2回スピーチの機会があって、総務大臣賞のほうはプロデューサーのMさんにお願いして、私は最優秀賞を担当することにした。この授賞式の冒頭に総務大臣賞の表彰式があって、そこでMさんは「この番組は3度いいことがあった。ひとつは文楽三味線のリサイタルが成功したこと、二つ目は三味線の鶴澤清治さんが人間国宝になったこと、3つ目が今回受賞したこと」とスピーチしたのだ。それを聞いて私は内心慌てた。私のスピーチの内容も清治さんが人間国宝に選ばれたことを中心に話を組み立てていたからだ。
式の後半で最優秀賞として登壇したときは、もう一つ用意していた企画論のようなことを語ってスピーチをしのいだ。これ以外にもはやスピーチのネタはなかったので、もしグランプリにでもなったらどうしようと心配していた。
この授賞式は中継録画されていて、舞台は照明ががんがんあたり、4台の中継カメラが登壇者をねらっている。ほかにも取材カメラが幾台も入っている。ドラマに出演した役者や、特別賞の欽ちゃんや徳光アナ、たちは気のきいたコメントをさらっと残してゆく。私のような裏方の人間にとって、こんな晴れがましい場所は大の苦手なのだ。まして、グランプリとなったら相当エスプリのある短いスピーチが期待される。もし決定されたらどうしようとそればかり心配していた。やけくそで「オッパッピー」でもやってやろうか。「そんなのカンケイない、そんなのカンケイなあい」と叫んでみる。なんて妄想が頭の中を渦巻いていた。
まあ杞憂に終わりほっとした。会場にはカメラのKさん、音声のIさんも駆けつけてくれたので、受賞の記念撮影は総勢6人でお立ち台に立った。
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