故郷の秋祭
今頃、敦賀では秋の例大祭が開かれている。たしか9月2日から15日までという長い祭りだったはずだ。子供の頃、日本で一番長い祭りだぞと仲間内で自慢しあっていた。
この祭りは二百十日と重なり、台風の直撃を受けることが多かった。屋台店の中に果物を売るのがあって、梨が店先に並んだ。それが風で吹き飛ばされ、テントの外へころころ転がった。台風で学校が早引けとなり下校途中でそういう光景を見ると、必死で拾い集めて食べたものだ。店の親父は怒鳴っていた。
神社の境内に行くと、サーカス小屋のテントが風をはらんではち切れそうになっていた。猛獣たちが鈍い咆哮を上げていた。隣のお化け屋敷はさっさとテントを畳んでいた。茶碗屋はせっせと菰をかぶせていた。
あの頃、台風が来るというと、押入れの戸板を外して玄関などに打ち付けたものだ。大人があくせく働くのを見ていると、いよいよ台風がくるぞと武者震いのようなものを感じた。
20年前に、SF作家のアーサー・クラークが人工衛星の効用について語るなかに、将来地球の大気の流れが外側から見られるようになれば天気予報はずいぶん正確になるだろうと予見していた。その通りになった。昔に比べて天気予報は短期であればほとんど当たる。台風襲来も進路や動きが事前に測れるようになり、災害を最小限にできるようになった。
今夜、台風が関東地方にやって来るとか。蒸し暑く、黒雲がむくむく湧いてくる。戸塚を過ぎて横浜に向かう頃から雨風がひどくなってきた。
水難を免じたまえや秋野分
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