闘ふ三味線
梅雨の晴れ間、大磯は新緑が美しい。カラスの鳴き声で目が覚めた。
日曜日に放送した「闘う三味線 人間国宝に挑む~文楽・一期一会の舞台」の反響が静かながらじんわりと来ている。ハイビジョンという小さな放送の媒体だから大きな声にはならないとしても、いくつかの感想や批評が届いている。そして概ね好意的な評価を与えてくれている。7月2日にハイビジョンで再放送の予定である。ところで、このタイトルだが亀井文夫の「闘ふ兵隊」を想起してなぜか闘ふと表記したくなる。
昨日、千代田区番町の鶴澤清治さんのお宅に伺いお礼を申し上げた。
清治さんご夫妻は今回のドキュメンタリーの上がりをとても喜んでくれた。自分でもリサイタルの本番は会心の出来だったから、あの番組の流れに素直に乗ることができたという清治さんの評価であった。それにしても映像というものは人間の目ではこぼれてしまう「事実」を怖いぐらいとらえるものだねと、清治さんは回想する。
画に関しては及第点をいただいたが、音声について専門家の厳しい意見があった。三味線の音色がややこもっていて切れ味のいい表現がかすんでいるとのこと。これはエンジニアの技術というより現在使われているガンマイクの構造に問題があるのではないかという指摘だった。今ロケで多く使われるマイクは風に音が吹かれないように表面にもじゃもじゃの繊維をまとっている。人間の声を録音するにはいいのかもしれないが、三味線のような鋭い音質には不向きではないかという、いかにも音楽家の厳密な意見だった。これからの取材に十分留意していきますと私は申し上げると、よろしくと清治さんは微笑んだ。
1時間ほど話し込んで辞去した。雨があがっていた。ベルギー大使館の夾竹桃の葉が美しかった。
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