夫婦善哉
この字は何と読むか知っているか、フランスに居る人よ。
めおと・ぜんざいと読む。オダサクの有名な小説に由来する言葉だ。
化粧品問屋の若旦那柳吉。いい加減な男。妻子がいるのにほかの蝶子という女に惚れる。
《甲斐性がない柳吉に惚れてしまったお蝶は、宴会を引きうけるヤトナ芸者をしながら柳吉を支えるが、消費癖のある柳吉の日々にはそれではまにあわず、剃刀屋を開き、これが失敗すると飛田に関東煮屋、果物屋というふうに次々に商売替えをする。関東煮とはカントダキで、大阪ではおでんのことをいう。》と松岡正剛氏は織田作之助の小説『夫婦善哉』を要約している。
善哉はあの甘いもののゼンザイを引っ掛けているのは分かるだろう。
法善寺横町に甘いもの屋を出した知恵者が、ぜんざいを一つの椀に盛るより二つの椀にしたほうが豪勢に見えるだろうとしたことから、対の椀になって、それを夫婦と呼んだらしいのだ。大阪では喧嘩ばかりしていても何だかんだ言って添い続ける夫婦のことを夫婦善哉と揶揄したり羨ましがったりするのだ。
今、制作している「闘う三味線 人間国宝に挑む」は大阪が舞台である。人間国宝竹本住大夫さん83歳は、妻と60年以上連れ添ってきた。二人の夕方の日課がある。犬の散歩だ。犬をひくのは住大夫さん、ウンコの処理は奥さんと、と手分けしながら仲良く毎日散歩する。意外に男は意気地がないもの、奥さんはあっけらかんと汚物を扱い、住大夫さんはそばで見ているだけ。微笑ましい。
その姿をナレーションでどう表現しようかと考えた。そこでひらめいたのが「夫婦善哉」という言葉だった。この語を使ってどう表現したかは、オンエアーを見て欲しい。
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