雨の百万遍
久しぶりの雨の京都。しっとりと美しい。河原町のホテルからバスで百万遍に向かう。
東山、吉田山の万緑の中、京大のキャンパスが眠るようにある。
生協ルネで書籍を漁る。と面白い本を見つけた。『俳景~洛中洛外・地球科学と俳句の風景』(宝塚出版)。理学部地球物理の尾池和夫教授が書いた本だ。理系の人が俳句を好むことは水原秋桜子や平畑静塔らの例で分かるとおりだ。尾池先生も脳を柔らかくする効能もあって俳句に親しんでいる。先生は地震、活断層の大家だ。
京都盆地というのは、活断層面の上下のずれで落ち込んだ岩盤が出来ている。断層運動で隆起する周囲の山地から土砂が流れ込んで出来たのが京都盆地。その中を北から南まで一本の大きな川カモガワが流れている。北から出町柳までを賀茂川と称し、出町柳から市内を貫いて桂川と会うまでを鴨川と地元の人は呼ぶ。
鴨川の岐れてよりの種物屋 金久美智子
京大のキャンパスはその賀茂川付近の花折断層系に属する。この上に曼殊院、詩仙堂、金福寺らが載っていて、白川が流れる。御影石の層から出来ているので白川の流れは清い。
落花行く疎水と速を等しうし 山口誓子
この花折断層系が運動して隆起したのが、有名な東山三十六峰。とまあ京都の地形をこの本によって教えられ、かつ俳句の味わい方も教えてもらった。
地震知らぬ春の夕の仮寝かな 河東碧梧桐
これまで京、その周辺ではいくつも大きな地震があったそうだ。1995年の神戸淡路震災を起点として70年ほどは西南日本は地震の活動期に入った。実は、秀吉の時代もそういう活動期でたびたび大地震が発生している。そのため伏見の隠居城がぶっ潰れた。その廃墟は長くあったようだ。江戸時代前期の俳人去来がこんな句を作っている。
月見せん伏見の城の捨郭 向井去来
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