ETV特集のナレーション録り
今、赤坂から戻った。今日はオフィスに出ないで、ずっと民間のスタジオで番組の録音をやっていた。昨日のうちに台本はメールで来ていたので、ペーパー上のコメント直しをして昼からの録音に臨んだ。
「東京を創った男 後藤新平」という番組はナビゲーターが東京復興された現場を歩き、かつ後藤の人生をドキュメントで描くと言う、二重の流れがある。だから、ナレーションも最初はベテランの長谷川勝彦さん(「あしたのジョー」のときもそうだった。私は長谷川さんのうまい読みが好きなのだ)だけでやるつもりでいたが、どうも番組にふくらみがないということで、もう一人若い女性の役者を立てることにした。岩崎ひろみさんである。
番組の現場リポートは岩崎語り、後藤の半生ドキュメントは長谷川語りと腑分けしたのだ。さらに、後藤の語った言葉や書いた文章は声優の仲木隆司さんにお願いした。つまり、この番組には3つの「ボイス」が響くわけだ。そこにナビゲーターとして東大工学部の西村幸夫教授と、歴史的評価をしていただく評論家の粕谷一希さんが加わるというわけだ。
地味な話題にもかかわらず、ある華やかさが番組周辺に漂いはじめた。
最初は岩崎さんだった。昨夜、民放で女性タレント春の運動会に出場しているのを私は見ていたので、会うなりその話題をふると、岩崎さんは思わずにっこり。彼女は若いと思っていたがもう三十路に入ったとか。最近結婚したばかりで、パートナーの惚気を少し披露。
今回、コメントが多いのだ。普通は90分サイズの番組であると120から140ほどだが、岩崎、長谷川合わせて182ある。よほど訓練されていないと、30読んだぐらいで、滑舌が少しもつれたりするものだ。加賀美幸子さんのようなベテランでないと100を安定して読みとおすことはできないものだ。岩崎さんの担当は120ほどあったが、一度も休憩をとらずに乗り切った。プロ根性は並でない。
岩崎さんの終わる頃、声優の仲木さんが来て、バトンタッチ。彼の担当は20ほどだが、後藤新平の人格をにじませた語りをしなくてはならない。つまり演技が要求される。これはこれで難しいのだが、あれこれ試みておよそ一時間半であがった。
最後に、長谷川さんが六時に現れた。相変わらず、江戸っ子のきっぷのいい感じで雑談を交わしたあと、本番に入った。一声入魂。スピーカーから彼の声が流れるや、ぞぞっと背筋に電気が走る。うまい。岩崎さんも仲木さんもよかったが、語り一筋40年の凄みは叶わない。
さて、このユニークな3色の声が一つの番組に収められると、どういう効果を生み出すのであろうか。トラックダウンした音声については、今夜遅くおそらく午前2時になるかもしれない。私は明日聞かせてもらうと言って、本日は9時半過ぎに、スタジオを出た。
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