孫自慢
団塊世代はジジイになりつつある。孫を数人もつ同窓生もおおぜいいる。
職場の四歳下のプロデューサーは、食道楽で美味しい店をよく知っていて、私をいろいろな所へ連れて行ってくれる。その彼が休み明けになると私の側に寄ってきて愚痴をこぼす。
「ああ、また日曜日に遊園地へ孫を連れて行って参ったよ。体はぼろぼろ、お金もとられるし」と孫といっしょに遊んだことを“自慢”をこきこきしにくるのだ。
理由(わけ)ありで両親がそろっていないから、孫の面倒をみることになってと、ぐずぐず言いながら、口調とは違って、孫の話題になると相好が崩れるのだ。
私が、「わかった、わかった、好きなようにしてくれ」と邪険にすると、さらに寄ってきて、「あのさ、今度英語塾に通わそうと思うんだけど、どう思う」と聞く。
「孫ってまだ四歳だろう。馬鹿じゃないの。母国語もしっかりしないのにどうするつもりよ」と憎まれ口をきくと、「だからさ、おいらや兄(あに)さんのように英語が駄目で、外国人コンプレックスをもたないようにという、ふかーい考えから来てるの。」と口答えする。
「じゃ、勝手にやれば」
「冷たい言い方だなあ。ああ、ひがんでるんだ。兄さんは孫がいないから羨ましいんでしょ。」と、人の神経を逆撫でするようなことを言い放つ。
「うるさい。俺はもっと大事なことを考えたいのだ。そんな些細なことにかかずらあえるか」
「お、言いましたね。そんなに『あしたのジョー』が大事なことですかい」
「そんなことじゃない。あんたの、その孫ボケしていることに耐えられないって言っているのだ」と声がつい大きくなる。
そして、ついにアイカタから止めの捨て台詞が飛び出す。
「へーんだ。悔しかったら、孫を作ってみろいってことさね」
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