
雨の法善寺

国立文楽劇場は日本橋にある。地下鉄で一駅行くと道頓堀、千日前に出る。
文楽の本公演は昨日で終了し、本日はご贔屓様への謝恩会が行われた。いわばファン感謝デーである。しばしの休息かもしれないが、私たちにとっては取材としては“弱い”イベントだ。これを見送りつつ、さらにテーマに肉薄するような要素を考え付く必要がある。
私は空き時間をねらって繁華街、道頓堀に出た。
小雨が降っていたが、濡れても苦にならない程度であった。有名な橋は現在工事中。しかしアジアの観光客が多い。至る所で中国語、韓国語を耳にした。
千日前から少し入ったところに有名な「水掛け不動」がある。そこに足を伸ばした。法善寺横町が雨にけむって風情があった。藤島桓夫が歌ったのは「月の法善寺横町」だった。
♪庖丁一本 晒にまいて 旅へでるのも 板場の修業 待ってて こいさん 哀しいだろが ああ 若い二人の 想い出にじむ法善寺 月も未練な十三夜
『こいさんが私を初めて法善寺へ連れて来てくれはったのは「藤よ志」に奉公に上がった晩やった。早う立派な板場はんになりいや言うて、長い事水掛不動さんにお願いしてくれはりましたなァ。あの晩から私(わて)は、私はこいさんが好きになりました。』
こういう雰囲気が減っていた。なにか薄っぺらい観光地になっていた。大阪はいつからつまらない町になったのだろうか。35年前、大阪に住んでいた頃の難波はもっとはんなりとした品があった。
今の大阪は、あの吉本の、ウィットの薄い芸にも似た、上っ面の大阪に成り果てている。
景気が上向いている東京と違って、大阪はまだ不景気の中にあると、私は見た。
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