おもかげにたつ
先日のブログで映画「失踪」について触れたとき、物語は離れ離れになった恋人たちが再会してハッピーエンドに至ると書いた。
昨夜、見直したら違っていた。失踪した娘ダイアン(ブロック)はその直後に殺害されていたのだ。そのあと、出会った女性リタ(トラヴィス)が主人公ジェフ(サザーランド)の苦難を救うのだ。殺人鬼バーニーから決死的にリタは自分とジェフを守るのであった。
さらわれてから3年もダイアンが生きているはずがない。考えてみれば当然だがそう思ったのは、2番目の恋人との危機が救われたから、私はそう思ってしまったのだ。
それにしても恋人が失踪してからも、ジェフはダイアンのことを思い続ける場面がせつない。
在りし日のダイアンのおもかげをジェフは抱くのだ。
おもかげとは実体がない、非在のことだ。そのことを内面で思い浮かべることだ。まさに面(おも)影(かげ)である。
蕪村の句を想起した。
ちりて後おもかげにたつぼたん哉
ここにはぼたんの本物は散ってしまってない。だが、観察する者の中にぼたんの像が結ばれる。おもかげという。
ジェフのおもかげを追う姿に、私は心をうたれた。
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