少年誌ブームの時代
土曜日に放送した「あしたのジョーの、あの時代」はたくさんの人が見てくれたようだ。
今朝も出社すると、いろいろな人から声がかかる。総じて年配、つまり団塊に近い世代が多いのだが。
さて、この番組を企画したのは大伴昌司を検証するためであったことは、このブログを読んでいる人であればすぐ分かるだろう。
まさに、「あしたジョー」の時代は大伴昌司の時代と重なるのだ。あの頃、少年マガジンが100万部を突破し大勢の読者を獲得した大きな要因は、一つはジョーでありもう一つは大伴の巻頭図解であった。この時代を評論家の呉智英は、「昭和40年代というのは、戦後、マンガブームの第2期黄金時代であった。」と言っている。
1期は昭和20年代から30年代前半の貸本や月刊誌が流行した時代、この当時の読者が団塊世代で2期の中心にも彼らはなる。1期当時は小学生で、2期には高校生から大学生になっていた。大学生がマンガを読むと世間の顰蹙をかったのだ。
呉はこの第2期で6つの作品を高く評価している。ギャグマンガを根底から変えた「天才バガボン」、風俗を変えた「同棲時代」、アメリカ的要素が最初に入り込んだ「サイボーグ009」、時代を挑発したギャグマンガ「ハレンチ学園」、闇の世界をとりあげた「悪魔くん」、そして描き手と原作者の分業として作り出した「あしたのジョー」である。
そして「あしたのジョー」と併走するかたちで大伴が次々に森羅万象を図解化していくのだ。昭和44年に提示した「情報社会」はまさに40年後の現代を透視していたのだ。
現在の少年誌には大図解はない。大伴の死とともにそれを代わって担当するものもいなかったこともあるだろうが、時代はその役目を振り落としていった。マンガはますます盛んになりオタク達を生み出し進化していった。
だが、果たして少年誌はかつての活力をもっているだろうか。マンガの物語は複雑化しスーパーリアルな画がふえたが、マンガの活力は少しずつしぼんでいるような気がしてならない。
今、力石の死に涙したような共感を、読者はもっているだろうか。
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