「あしたのジョーの、あの時代」
本日は、赤坂でナレーション録(と)りがある。
24日放送のETV特集「あしたのジョーの、あの時代~団塊世代 心の軌跡~」の語りを録音するのだ。一応、効果音や音楽は既に入った。最後に語りを入れるだけとなった。ナレーターは長谷川勝彦さんだ。
長谷川さんの詠みは定評がある。重厚にして軽妙な語りはディレクターやプロデューサーから篤い信頼を得ている。
長谷川さんと私は今を遡ること23年前、長崎に赴任したときに机を並べた仲である。むろん長谷川さんのほうが大先輩である。当時は中堅のアナとしてニュースを中心に詠んでいたが、うまい人だなあと憧れていた。江戸っ子で普段はべらんめえ口調があるが、仕事の声は実に正調であり聴きやすかった。私が尊敬する和田篤アナの後継だと勝手に思っていた。
それから10年後、「もう一度、投げたかった~炎のストッパー津田恒実の直球人生~」で、長谷川さんにこの悲劇の投手の人生を語ってもらった。素晴らしい詠みだった。原稿を自分で書いておきながら、私はスピーカーから流れてくる長谷川さんの声に思わず落涙しそうになったことを覚えている。
そして、5年前「向田邦子が秘めたもの」でも心に沁みる語りを聞かせてくれた。向田が恋人に撮影された写真があって、その撮られた大きな瞳の中に恋人がかすかに映っていた。そのせつなさを私は文字にした。それを長谷川さんは見事な「声」で響かせてくれたのだ。
その「向田」の番組と同じプロデューサー、ディレクターらが今回の番組を担当している。語りを誰にするかを決めるとき、私が長谷川さんを挙げると一も二もなく賛成してくれた。上述した二番組はヒューマンドキュメンタリーであり今回はトークをベースにした教養番組で赴きはいささか違うので、心に沁みるというわけにはいかないだろうが、一つ大きな楽しみがある。それは地のナレーションとは別に漫画「あしたのジョー」の吹き出しの詠みがあるのだ。例えば、ジョーのつぶやきで「真っ白になるまで闘うのだ…」とか、力石のセリフで「立て、立つんだ!ジョー」とかが、長谷川さんに詠んでもらうことになっている。地の語りとどんなふうに変えて詠んでくれるのか、楽しみにしている。
さあ、今日のこの作業を終えれば「あしたのジョー」もほぼ完成だ。これで一山越えて、もう一山だけとなる。それは31日放送の「春のワルツ特番」だ。気を緩めずにいこう。
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