真っ白に燃え尽きた日
本日、「あしたのジョーの、あの時代」の2回目の収録。いよいよ原作者のひとりちばてつやさんが登場した。迎えいれたのは司会の夏目房之介さんと作家の夢枕獏さん。二人とも「あしたのジョー」の大ファンである。50代のおじさんは今日はほとんど少年の目でちばさんを見つめている。
この名作は高森朝雄の作でちばてつやの画である。当時、「巨人の星」でヒットを飛ばしていた梶原一騎が「高森朝雄」とペンネームを変えて原作を手がけた。この高森朝雄というペンネームは、梶原の本名・高森朝樹に由来している。
その後、梶原はさまざまな伝説を残すが、この連載が始まる頃は格上のちばに対してあの梶原でも遠慮していた。原作を直されることを激しく嫌う梶原だったが、ちばだけはそれを認めた。その理由は、「手塚治虫とちばてつやは別格だ」ということだったのだ。
物語の冒頭は梶原案ではいきなりボクシングシーンだったが、ちばはこれを大きく変えた。貧しい下町から始めたのだ。
そして最終回のシーンにもまた伝説が残っている。梶原が最初に考えた最終回は、「ホセ・メンドーサに判定で敗れたジョーに、段平が『お前は試合では負けたが、ケンカには勝ったんだ』と労いの言葉をかける。ラストシーン、白木邸で静かに余生を送るジョーと、それを見守る葉子の姿」というものだった。だが、その原稿を手渡されたちばはこれに反発し、有名な「真っ白に燃え尽きた」ラストシーンとなる。
このシーンをめぐってファンの間では意見が分かれる。ある者はジョーは死んだといい、ある者はいやジョーは生きている、と2つの相反する見解が生まれた。これまでも、夏目房之介さんも、ジョーの身体が次のページ方向を向いており、リングの線も同じように途切れずに向かっていることから明日があることを意味していると解説していた。つまり夏目さんは生存派である。
その疑問をちばさんに本日向けると、「時によってジョーの最後は死んでいたり生きていたりするのです。ところが最近は自分が年をとったせいか、生きていると言う面をとらえることが多くなったなあ」と懐かしそうに語る。その理由として、ジョーはやさしく微笑んでいるよと指摘する。さらにこの物語を熱く支持した団塊世代へちばさんはエールを贈った。あのときの読者の多くが定年ということで、リングを降りる時期が来ているが、ジョー同様死なないでほしい、まだまだ闘ってほしい、と感動的なメッセージをちばさんは贈ってくれたのだ。
この収録を終えた後、ちばさんを真ん中にして夏目さん夢枕さんの記念撮影。みんな興奮して、本日のことは早速ブログに書こうとせっせとケータイで撮影。おそらく、ちば、夏目、夢枕の3氏のブログはきっとこの話題のはずだ。
最後に、私はジョーの大きなパネルに、ちばさんのサインをお願いした。畳2畳ほどの大きいパネルだ。これを終わってオフィスに運んでもらった。ちばてつやと書かれたサインがまぶしい。それにしても、このラストシーンは最高だ。
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