旅に出ること
仕事柄、旅はよくした。40代には週に一度は出かけていた。大半は広島を中心とする中国地方であったが、時には東京、福岡、ストックホルム、へと足を伸ばした。
いつも疲れていた。肩がこり脚がはっていた。それでも旅に出れば気分が一新されるので、厭わずに旅に出た。若かったので無理が出来たのであろう。そのツケは47歳のときに脳出血というかたちで払うことになるが、旅に出ることは今も好きだ。昨年も最低月に一度は旅をしていた。
ある月刊誌の企画書を目にして驚いた。たいていの人はあまり旅をしていないのだ。
その月刊誌の読者層は団塊とあってもろ私と同世代だ。その企画書は読者の志向や嗜好をアンケートで分析していた。
まず、読みたいコンテンツのベストは。1位政治、2位経済、とあって3位に旅とある。
過去1年以内の国内旅行回数が興味深い。
1回-19・1%、2回-24・7%、3回-18・7%、4回―8・6%、5回以上―15・5%、行っていない―13・6%。
この雑誌の男女比は70・4%:29・6%。男が圧倒的に多い。専業主婦は少ないと思われるからいわゆる仕事をしている人が大半と想定される。その人たちがプライベートであれ仕事であれ年に1,2回しか旅をしない人が43・8%もいるのだ。行かない人をいれるとおよそ6割になる。驚いた。
石川県で教師をしている友が3年に一度上京してくる。教研集会があるからだ。そういうことがないと東京へ行くことなどないと苦笑していたのを思い出す。
高度成長時代、全国から若者が東京へ吸い寄せられた。あれから30年、定年をむかえてその「若者」は老いて東京に留まっている。地方に帰って暮らすことは望まないにしろせめて旅でふるさとへ帰りたいとは思うだろう。だが給料は下がり年金も減らさればそうもいかない。
旅が不自由になるというのは、私には窒息する思いにつながる。なんとか移動しつづけたい。ノマードでありたい。犀星が言うように「ふるさとは遠きにありて思うもの」だが、異郷にあるわびしさを束の間追い払うことができるのは、旅だけだから。
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