早春のスケッチ
今年は陽気がいいせいか、2月初めだというのに早春の気候となっている。
久しぶりにツヴァイクの道を下りながら、早春の風景をスケッチすることにした。
風は冷たいが日差しはきつく、太陽に顔を向ければ耳のほかは暖かい。粒だって落ちて来る光に手のひらを向けて日を浴びる。
向山の峰には、葉を落として枝だけになっている雑木林が少し赤みを帯びている。まもなく芽吹きになるのだろうか。
足元の笹薮からちっちっと鳥の声がする。まさか鶯の笹鳴きではあるまいから、おおかた群雀だろう。
さらに下ると大きな欅が倒れていた。今年の冬は大きな風も吹いてはいないが、根こそぎひっくり返っているのを見ると、斜面に樹の重みを支えきれなくなって倒木となったようだ。この倒木が朽ちやがて別の新しい樹の芽がここに吹くのであろう。山は人知れず流転を重ねる。たしか倒木更新といったのではないか。
海が光っている。波のない穏やかな光る海を山から眺めると、風景の上方にあるのがおかしい。沖はかすんでいるが上空には雲一つない。
麓まで行くと枯れススキが無風の中にぼーっと立っている。かたわらの古井戸に金網の蓋が新しく取り付けてあった。10年来ずっと裸のままだったのに、誰かが落ちたのだろうか。
駅への坂道を登る。改札口に急ぐ人の群は黙々としているが、どこか弾むように見える。陽気がいいせいだろう。
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