心の器
この年になってもまだ人間ができていない。
感情がすぐ顔に出るのだ。そればかりか言わなくてもいいことまで口にする。いけない、そんなことを言ったら後でこじれる、と分かっていても言ってしまう。我慢してじりじりした気持ちに耐えられない。そんなことでやきもきするなら、いっそ口に出してすっきりしたほうが後悔するよりいいと、その時は思ってしまう。
そして、口に出して後になって後悔する羽目になる。
京都に梶妙寿さんという尼僧がいる。かつては億万長者と結婚し子どもも二人恵まれ、日本舞踊の名手として知られるなど、何不自由ない生活を送っていたが、夫の浮気、本人の不倫などが重なり、40歳を越えて出家した人物だ。今、この人のもとを訪れて悩みを相談しに来る若い女の人がひきもきらないそうだ。
その人の言葉で、心に残るものがある。感情をコントロールする方法があったというのだ。妙寿さん自身感情的だったからそれを直そうと思ったのだ。その方法。
尼僧修業のときに托鉢に出る。そのとき持つのが「はつ」という入れ物で、人の施しを受ける器だ。そのはつにいっぱい水を張って、心の中のいちばんカッとくるところに置いておく。何があっても、その水がこぼれないように、水に精神を集中する。
何か嫌なことを言われても、「あっ、水がこぼれる、こぼれる、こぼさないようにしよう」とまず水に心を向けるトレーニングをした。一瞬間をおくことで、腹の立つ感情がやわらいでゆくというのだ。
簡単で易しそうにみえるが、私にとっては至難の行だ。だが、ちょっと真似をしてみよう。いつまでも子どもじみた心模様ではみっともない、というより自分自身で心貧しいと嫌悪してしまうから。
「はつ」に水を張って、・・・・・。
私は今日59歳の誕生日をむかえた。
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