ナンダヨー、ガッカリダヨ
テレビで映画を見るもんじゃない。と分っているが今夜三谷幸喜の「THE有頂天ホテル」を見てしまった。
彼の「ラジオの時間」というのをレンタルDVDで見て期待外れだったので、この作品もそうじゃないかと懸念があって、有料で見る気がなかった。フジで今夜長時間で放送するからカットも少ないだろうし、期待以下でもタダなら諦めもつくと思って、テレビで見たのだ。
当初の予想を裏切らず映画はつまらなかった。毎度思うのだが、三谷は才人だと高く評価されるが私にはそうは思えない。いつも出だしと仕掛けの設定だけの演出者に思えてならない。この映画も最初の10分はおおいに期待をもった。ジャック・レモンの映画のようなテンポがありセリフが軽快で、目くるめくようなカメラワークで楽しませてくれると心待ちにした。
そのうちにカメラの華麗さはかなりCG(コンピュータグラフィックス)に頼っていると分るとなんだか映像が軽く思えてきた。
物語(ストーリー)は中盤からがたがたと崩れだす。エピソードが多い、多牌ぎみの映画だった。これをすべて展開させると収拾するのは相当の力技が要るぞと警戒したところ、案の定安易なご都合主義が次ぎ次と重ねられてゆく。
役者の豪華さと身内の配役が互いに殺しあってしまった。役所公司、唐沢寿明、佐藤浩市、戸田恵子ほかぜいたくな俳優陣と三谷の劇団仲間と思われるなじみのない役者が互角で仕事をする不自然さが気になった。無名の人はやはり華がない。それが役所や佐藤といったネームのある人と対等の芝居をすると、双方にどこか痛々しさを感じるのだ。
元来、俳優の格などということは否定する立場にありたい私だが、こういう映画を見せられると、映画とは荒ぶる神が支配していると思い知らされる。人気というモンスターが咆哮する。
この映画の評価、星5つのうち2つ半。
さて、先日衛星映画劇場のW支配人と今年の邦画ベストスリーの話をした。W支配人は映画番組の司会とともにキネマ旬報の40年来の投稿者でもあるという、筋金入りの映画見巧者だ。彼が挙げたベスト3は、「明日の記憶」「武士の一分」「長い散歩」。最近公開されたばかりの「長い散歩」は一見に値すると絶賛していた。うん、やはり映画は木戸銭を払って見なくては。正月が開けたら「長い散歩」を絶対見に行くぞ。
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