笑いのテロリストが死んでゆく
昨夜、TBSの新しい笑い番組という「リンカーン」を見て、その寒々しい光景にああついに笑いも終焉をむかえつつあるのかと、思った。
この「リンカーン」という番組は、主役がダウンタウンでさまぁ~ず、キャイーン、雨上がり決死隊、山口智充といったレギュラー陣とが取り巻く。豪華なお笑い番組というふれこみだった。現在のお笑いブームについては冷ややかといわれる松本人志が、敢えてその渦中に本格的に飛び込んで挑んだという鳴り物入りの番組と聞いたが、昨夜見たかぎり番組のテンションの低さには驚いた。
番組の舞台は大阪ユニバーサルスタジオ(USJ)。そこのパレードでレギュラーのひとり大竹一樹が39歳の誕生日を祝ってのパレードに出るという仕掛け。このパレードのために800万円かけて専用車を特注している。USJのスタッフも誕生日用の振り付けを数日前から練習しているというのがVTRで見せられる。謎の屈伸運動に精をだし全員がメガネをかけている。(このエピソードの受けが結局なかった。伏線を張って回収しないというのは構成として最低)
当事者の大竹は何も聞かされていない。だからそこでとんでもない出来事が待ち受けていたといって、半絶叫口調のナレーションが入るのだが、実際は何にも起きない。例のCMをはさんで気をもたせる手法を使うのだが驚くほど何もない。とちゅうロケが失敗したと思われるのが処々見られた。
取り巻きの雨上がり決死隊、山口智充もまったく木偶の坊状態。たかが芸人の誕生日をパブリックな空間を使ってやってもらうなんて申し訳ないというアティチュードのままの大竹。彼の人柄の良さは分かるが、いじられ芸人としては立場をやりきっていないと、終わった後総括されるのだろうか。これは彼のせいでなくまず企画を立てたであろう松本、浜田、そして放送作家の責任だ。とにかく、この番組のレベルの低さは枚挙にいとまないからもう言わない。
かつてたけしやさんまが現われ、マンザイブームが始まったとき、70年以前のアンシャンレジームに対する笑いのテロと見られて、拍手喝采を送ったものだが、それも30年続くとうんざりしてきた。至るところで笑いは連作障害を起こし、ぐちゃぐちゃの状態になりつつある。現物を見ていないから正確には言えないが、先日の特番でさんまが視聴率をとれなかったと週刊誌が報じていた。たけし、タモリは最近主舞台から引退ぎみだったが、さんままで凋落したのだ。
澁谷にヨシモト劇場が出来て若い女たちで賑わっているが、これではサークルや合コンの中のはしゃぎ程度の芸にしかならない。
ドラマが15年ほど前から下火になりクイズも落ちた。このところテレビでずっと幅をきかせてきたくいもの、オワライが階段状で落ちてゆく。さて、テレビ局はこれから何をねらってゆくのか。
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